さよならと言う前にくだらない無駄話をした。
さよならの寂しさを誤魔化したかったから。
さよならを言う前に大事な話をした。
さよならだけを最後の言葉にしたくなかったから。
さよならを言う前に抱きしめてキスした。
さよならと言ってしまったらもう会えなくなりそうだったから。
さよならと言う前にまた会う約束をした。
さよならじゃなくてまたねって言って欲しかったから。
嘘だけはつかなかったね。
さよなら、
目が覚めると全てがそろっていた。でも、きみだけがいなかった。
自分が欲しいと1度でも思ったことがあるもの全てがあるのに、
きみはどこを探しても見つからなかった。
好きな女優 、アイドル、歌手、全員に会えたのにきみには会えない。
きみの真っ黒で銀河のような輝きを失わない瞳に見つめられたい。
きみの真っ黒で絹布のような滑らかな髪の波に巻き込まれたい。
きみの真っ白で白桃のような柔らかな頬に接吻の雨を降らしたい。
きみの真っ白で柳枝のような嫋やかな腕に包まれて眠りたい。
きみに、きみに会いに家を飛び出た、
瞬間に落ちた。
はっ と目が覚めると
貴方を追い付きたくて無我夢中になって走った。気が付くと、今日が昨日になって、明日が今日になってた。でも、いつになっても追いつけない。まるで亀に追いつけないアキレスのよう。
私達は皆亀でありアキレス。
私は今日を生き、貴方は明日を生きる。
私達の間に壁は無い。あるのは決して縮めることの出来ない時。
私は貴方を永遠に追い求める。
貴方がこちらを振り返り、思いを向けることなどない。
ただ、貴方がもしも私達を思う時があるなら、それは懐古の念だろう。それは私達が一番に理解している。
私達は貴方で、貴方は私達だから。
それでも私達は続ける。
昨日の私にさよならをし 、明日の私に出会う。
ある日目を醒ますと、あなたは泣いていた。なかなか泣き止まないから抱きしめると、私が潰れちゃうくらいぎゅっと抱きしめ返してくれた。私とってもびっくりしちゃったの、いつも朝は機嫌が悪いし
ハグもキスも返してくれないのに、今日は返してくれた。不思議に思ったけどあなたには言わない。
怒ってしまったらもうしてくれないかもしれない。
それに私 、あなたがそばで生きていてくれるだけで嬉しかったの、でも私にもちゃんと返して欲しかったの。だから言わないわ。
それにこの夢がいつか醒めるって知ってるの。
でもね、その時まで私はあなたを愛すわ、いや多分その時が来てそれから何十年何百年たってもあなたを愛してる。だからそれまであなたのそばにいさせて、天気雨のように優しくどんなあなたでも愛すから。目が醒める前にやりたいことあなたと全て終わらせてから醒めたいの。
あなたが泣き止んだみたい。
そうして私達は指を絡めて、白い波の中に消えた。
本、映画、アニメ好きになったものが終わってしまうと、何でも続きをもっと知りたくなってしまう。
主人公が死んでしまっても。
どんなに綺麗な終わり方でも。
きっと私は物語の人々が、そして、その世界が好きなのだろう。
今でも私の中で物語は生き続けている。だから私はいつまでも求め続けるだろう。