REINA

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7/1/2024, 1:11:44 PM

窓越しに見えるのは



授業と授業の合間のほんのわずかな休憩時間。
私は自分のいるEクラスから少し離れた、Bクラスへと向かう。

目当てのクラスが近づくたびにドキドキする。
今日はなんて声をかけよう。
ノートを貸して欲しいとかかな?
分からないところがあって…って質問するのもいいよね。

そんなことを考えているうちに、Bクラスに辿り着く。
廊下側の近い席に、彼はいた。

扉のすぐ近くにいた女子たちに声をかけて呼び出してもらう。
窓越しに見えるのは、彼が振り向いてニコッと笑いかけてくれるその姿。

嬉しくてひらひらと軽く手を振る。
ああ、私はひどく彼が好きだ。

彼が扉に向かって歩き出す。
私の目の前までもうすぐ……

6/30/2024, 1:19:33 PM

赤い糸



私には昔から不思議な力がある。
その人の『運命の赤い糸』が視えるのだ。

『運命の赤い糸』は将来、その人が誰と結ばれるのか分かる糸だ。
ぐっと瞳に力を入れると視えるようになるけれど、普段は見ないようにしている。

誰と誰が結ばれるのかが最初分かった時は、恋のキューピッド役なんていうのをやっていて、それはとても良いことだと思っていた。

自分の赤い糸は見えない。
どんなに凝らしても視えない。

だから、自分の好きな人が別な人と繋がっていると、とても胸が痛んだ。

何回も『そうか…私じゃないんだ…』って思った。
それから、他人の恋に対しても応援することができなくなってしまった。

神様はなんでこんな力をくれたんだろうか?
他の人には無い力。
何か役立てることがあるはずなんじゃないだろうか?

そんなふうに葛藤もした。
それから年齢=彼氏いない歴になってしまい、もう30代も目前だ。
正直、処女であることに焦りを感じる。
とは言いつつも、恋愛をどこか遠いどこかの出来事のようにしか思えなかった。


そんなある時、中途入社してきた男性がいた。
その人は少し強面の体格がガッシリしている人で、
少し凄みという目力がある人だった。

何となく苦手だと思ったけれど、その人の『運命の赤い糸』がいきなり視えた。
いつもなら、瞳を凝らせないと視えないはずなのに、今はそんなことをしなくても楽に視えていた。

誰と繋がっているんだろ?と少し好奇心が勝った。
たどっていくと、段々と私の近くにいる人に近づいているようだった。

というより、自分の視界の端に赤い色が視えた。
よく見れば自分の小指に繋がっていたのだ。

「えっ?」

あまりの出来事に素っ頓狂な声が出て、周囲の注目を浴びてしまった。
だがそんなことよりも、ちょっと苦手なあの人と私が…!?という驚きもそうなのだが、自分の赤い糸が初めて視えたことに感動した。

(私にもあるんだ…。運命の人…。)

これから、あの人とどう結ばれるのか、少し気恥ずかしい気持ちながらも、これから起こる様々なことに胸の高鳴りを覚えた。




6/29/2024, 12:09:39 PM

入道雲




空の向こうに入道雲が出ている。
綿飴のようにもくもくしていて、昔行った縁日のことを思い出した。

その縁日でクラスメイトの佐々木くんに会った。

『お!奇遇だね!』

ニカっと笑った顔が佐々木くんらしい陽気な笑顔だ。

一緒にどう?と言われて、誘われたことにドキドキしながらも、返事は思考が回るよりも早く、頭は頷いていた。

佐々木くんは私の歩調に合わせて歩いてくれてるみたいで、そういうさり気ない気遣いができる優しいところも大好きだと実感した。

2人で焼きそばやたこ焼き、チョコバナナ、金魚すくいなど思いっきり楽しめた。

最後に佐々木くんは綿飴を買ってくれた。
流行りの子供用のアニメで、高校生の私からすれば少し持っているのが恥ずかしいけれど、嬉しかった。

綿飴はとてもとても甘かった。



入道雲は夏の季節しか現れないらしい。
佐々木くんとの縁日の思い出は、夏になると必ず思い出す。
私の初恋の大切な思い出だ。

6/28/2024, 12:06:08 PM





海が大好きな私は、特に夏の季節が好きだ。
海の青と空の青がどこまでも続いているその先を見ていると、私の夢も無限に続いているかのようで、太陽が燦々と輝やけば、私を祝福してくれるかのように感じるからだ。

明日は仲のいい友達数人と海で遊ぶ。
その中には私の好きな人もいる。

告白しようと決めた。
もうこの気持ちを心の奥に閉まっておくことが苦しくなってしまった。

だから明日、伝える。
水着だって新調した。
ダイエットもした。

もし万が一、振られたとしたら…?と考えることもあるけれど、それはそれで悲しいけれど、勇気を出した自分を褒めてあげたいと思う。

夏は開放感を感じる。
私の気持ちも曝け出して、素直に伝える。

この夏を最高の思い出にしてみせる。

6/27/2024, 11:42:06 AM

ここではないどこか



ここではないどこか遠くへ行きたい。
貴方と共に。

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