風に身をまかせ
風に身をまかせるように、
あなたに全てをまかせたい。
失われた時間
過去も未来も現在も。
僕にはどうでもいい。
失われた時間は戻らない。
君との想い出も、砂の城のように崩れてなくなった。
あの日の君も、あの日の僕も、
もういない。
子供のままで
ある女の子がいる。
それは僕にとって大事な幼馴染みだ。
彼女は天真爛漫で純粋で、子供のようなあどけなさが残っている。
もうすぐ高校生だ。
そんな彼女も中学校の入学の時より、
だいぶ背が伸びたと思う。
少しずつ成長する彼女に異性として意識がないと言われれば、そんなのは嘘だ。
でもまだこのまま、ゆっくりと大人になって欲しい。
じゃないと僕の気持ちが持たないんだ。
だから、もう少し子供のままで。
愛を叫ぶ。
愛だの恋だの、オレにとってはなんだかむず痒い。
下手すれば寒気すらする。
高校生になったオレは、自分で言うのもなんだがモテる。
悪くないという自覚もあるが、だからと言って「付き合う」という自分が想像できない。
女友達は多い方だ。
そういう付き合いの方がいい。
まぁ、中学からの知り合いで、おそらくオレに惚れている奴がいるのは分かっているけど、今はそういう関係は……
と、ちらっとそいつの顔を見る。
まーた、男にチヤホヤされている自分にまんざらでも無い顔をしている。
やめとけ、やめとけ。
美人の類は入るとは思うが、かなりのじゃじゃ馬だぞ。
と心の中で思う。
その中に少しだけある、何か苛立つ気持ちがあることも自覚しているが、見て見ぬふりをする。
そいつがオレの目線に気が付いたのか、オレの顔を見て「あっかんべー」をしてきた。
ああいう顔が見られるのも特権だと思うと、心の中の苛立ちが少し引いた。
オレが愛を叫ぶ日は、まだまだ遠い。
モンシロチョウ
どこにでもいる蝶、モンシロチョウ。
私はそんなモンシロチョウと同じように、
どこにでもいる普通の女の子。
いわゆるモブAだ。
だから私は主役にはなれない。
こんな私だから、片想いの相手に対しても、
話しかけられないし、ただ遠くから見つめるだけ。
人目を引くようなアゲハ蝶にはなれないのだ。