「久しぶり。2、3年ぶりかな?」
そう親友へ話しかける。
この親友に会うのは怖かった。でも、意を決して会ってみると意外と言葉が出るもんだ。
「お前と会わなかった間に、結婚したんだ。中々報告に来れなくてごめんな…?」
親友に会うと決めてから、一番伝えたかったことを言った。
「相手はもちろんお前が背中を押してくれたおかげで付き合えたあの子に決まってんだろ笑」
言いたいことがスラスラと口から出ることに自分でも驚いているが、話し続ける。
「あとな、もうひとつ。子どもも出来たんだ。」
涙が零れた。もう、限界だ。
「お前に見てもらいたかったなぁ…。俺の子、ほんとに可愛いんだ。なんで、なんで、お前が……。」
俺は泣いて、泣いて、泣きまくった。
「泣きすぎたな笑 今日はもう帰るよ、またな!」
また来ると言ったが、もう来ることは無いだろう。
まだ、現実を受け止められてない俺にはもう一度ここに来ることが出来る自信はなかった。
溜息をつき、その場を離れようと背を向けた。
すると、
「お土産話ありがと!次来るの楽しみにしとくなっ!」
あいつの声でそう聞こえた。
俺は振り返らず、涙をこらえて、
「ありがとう」
と一言だけ伝えて帰った。
もう朝か…。
とりあえず着替えよう……。
駅に着いた。
乗る電車は…あ、あの電車か。
電車から見える風景は自然豊かで暖かい、だが進めば進むほど建物が増えていく。歩いている人も車内にいる人も増えていく。
ザワザワ……。
電車から降りると人通りが多くて、酔いそうだ……。
今日も頑張るか。
「やばい!遅れちゃう!!!」
普段遅刻しないというのに、今日みたいな雪の降る寒い日に限ってこんな失態を犯してしまうなんて…。
そんなことを考えながら走っていた。
すると突然、滑ってしまった。
「きゃっ!」
転けてしまうと思い思わず目をつぶった。
「大丈夫?」
ふわりとした感触と共に聞こえてきた声。
目を開けてみると、そこに居たのは私が憧れていたサッカー部の部長。
いつも皆に優しくて、私みたいな後輩にもいつも話しかけてくれる。、
「すみません!大丈夫です!先輩こそ大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ!全くお前はドジだな…!」
そう言って微笑んでくれた。
この時、もう既に私は恋に落ちていたんだ…。
「おい、大丈夫か?」
「大丈夫!ちょっと考え事!」
あの時の微笑みは今日も隣に居てくれる。
ふと目が覚めた。
今は何時なのだろうか。
窓から覗く一つの星は、僕にほほ笑みかけるように輝いている。
あぁ、彼女にもう一度会いたい。