それは、突然だった
終わりにしようって、君が言い出した
4/1ではなかったし、君の笑顔もなかった
幸せだったのは、僕だけだったみたい
今日で僕らも終わり
「これで最後だから」
そう言って、君を抱きしめた
君は何も言わずに、静かに家から出ていった
家の中には、孤独な音がしている
「君」と出会った日は、今でも覚えている
綺麗で、美しい人だと、小学生ながらに思った
引っ越してきた僕に、「君」は優しくしてくれた
初めて会うのに、礼儀正しく挨拶をして、ガチガチに緊張した僕に、優しく語りかけてくれた
その日から、僕たちはよく遊ぶようになった
でも、「君」は、名前を教えてくれなかった
その理由はわからないけど、「君」の考えだから、そういうものだと思った
僕が中学校に上がるタイミングで、親の事情によりまた引っ越すことになった
僕は、「君」に想いを告げた
好きだって、愛してるって
でも「君」は、柔らかく、美麗な笑顔で、言った
『これから先の未来で出会って、私のことを思う気持ちが変わらなかったら、返事をあげる』
僕は、その時に聞いた
また出会った時に、君の名前で呼べるように、名前を教えてって
その日、美しい君の、美しい名前を、初めて口にした
親友だと思っていた人に、よく思われていないことを知った
優しいあの人は、僕の陰口を叩き
別の人と、笑い合っていた
今日はやさしい雨
湿気でぬるい空気が、僕を包み込む
やさしい雨音が、僕を慰めていた
昼休み、友人と共にお弁当を開き、何気ない話をして過ごす
なんでもない、どうでもいいような話で、笑って話す
この時間が好きだ
でも、
「そういえばさぁ」と、1人が話し始めた
「結衣って、ウザくない?w」
心臓がどきりと跳ねた
別に私のことを言われたわけではない
結衣は、学年で可愛いと評判の女子だ
同性の私から見ても、可愛いと思う
「なんか可愛いとか言われてるけどさ、正直ぶりっ子でしょ?w」
確かにーとか、ほんとだよねーとか、同調の声が上がる中、私は「あはは…」と、苦笑いしかできなかった
次の日から、私は変わってしまった
いつもは心の底から笑える友人の話も、表面上でしか笑えず、心の底では笑っていなかった
今日が終わる
ベッドに潜って思う
あれ、私、昨日と違うな
なぜだかわからないけど、僕の心はグレー
別に悲しくもないし、寂しいわけでもない
理由もわからず、ただただやる気が起きないだけ
布団に寝たまま、空を見る
今日の空は、グレー
今にも雨が降りそうだ
じっと空を見つめていると、なんだか空に溶け込むようで、心地よい
1人で何を思ってんだろ