冬華(トウカ)

Open App

「君」と出会った日は、今でも覚えている
綺麗で、美しい人だと、小学生ながらに思った
引っ越してきた僕に、「君」は優しくしてくれた
初めて会うのに、礼儀正しく挨拶をして、ガチガチに緊張した僕に、優しく語りかけてくれた

その日から、僕たちはよく遊ぶようになった
でも、「君」は、名前を教えてくれなかった
その理由はわからないけど、「君」の考えだから、そういうものだと思った

僕が中学校に上がるタイミングで、親の事情によりまた引っ越すことになった
僕は、「君」に想いを告げた
好きだって、愛してるって
でも「君」は、柔らかく、美麗な笑顔で、言った
『これから先の未来で出会って、私のことを思う気持ちが変わらなかったら、返事をあげる』
僕は、その時に聞いた
また出会った時に、君の名前で呼べるように、名前を教えてって
その日、美しい君の、美しい名前を、初めて口にした

5/26/2025, 11:34:57 PM