昼休み、友人と共にお弁当を開き、何気ない話をして過ごす
なんでもない、どうでもいいような話で、笑って話す
この時間が好きだ
でも、
「そういえばさぁ」と、1人が話し始めた
「結衣って、ウザくない?w」
心臓がどきりと跳ねた
別に私のことを言われたわけではない
結衣は、学年で可愛いと評判の女子だ
同性の私から見ても、可愛いと思う
「なんか可愛いとか言われてるけどさ、正直ぶりっ子でしょ?w」
確かにーとか、ほんとだよねーとか、同調の声が上がる中、私は「あはは…」と、苦笑いしかできなかった
次の日から、私は変わってしまった
いつもは心の底から笑える友人の話も、表面上でしか笑えず、心の底では笑っていなかった
今日が終わる
ベッドに潜って思う
あれ、私、昨日と違うな
なぜだかわからないけど、僕の心はグレー
別に悲しくもないし、寂しいわけでもない
理由もわからず、ただただやる気が起きないだけ
布団に寝たまま、空を見る
今日の空は、グレー
今にも雨が降りそうだ
じっと空を見つめていると、なんだか空に溶け込むようで、心地よい
1人で何を思ってんだろ
一人一人、見た目も、形も違う、未来への船
みんなが一斉に、帆を立てた
けれど、目指して進む目的地は、みんな違う
目的地までは、僕ひとりなのかな?
でも時々、別の船が並んで、一緒に進むこともある
途中で別れてしまうかもしれないけれど、途中までは同じ道
時々、海賊に絡まれることもある
でも、いつかは海賊も去っていく
たまーに来る来客とは、お祭り騒ぎで楽しむかもしれないし、喧嘩をしたりするかもしれない
でも、この広い海で、仲間と会えたのは、奇跡そのものだよ
未来への船を進める時、出会いも、別れもある
一期一会、大事にしたい
元気かな、卒業して行った、優しい先輩
元気かな、転校して行った、部活の親友
元気かな、もうこの世にはいない、おばあちゃん
元気かなと気にする時、いろんな人が思い浮かぶ
それはみんな、今までに別れをしてきた仲間であり、家族
また会えるといいな、とは、思わない
「またね」じゃなくて、「さよなら」を伝えたから
人生は、いろんな分岐点がある
その先で、仲間達と再会することは、ごく稀だ
その別れを告げる時に、後悔ができるだけ少ないようにしたいから
一人一人と全力で向き合おうと思うんだ
下を向いて歩く
灰色の、硬く冷たい地を感じる
前を見て立ち止まる
赤い光を眺める僕の前を、黒や白の鉄塊が通り過ぎる
俯きがちで歩き出す
周りの足音に追い立てられて、少し早歩き
しばらく歩く
灰色の視界
ふと上を見る
蒼く、深く、清々しく広がる空
俯くんじゃなくて、少し前を向いて歩いてみようかな