ぴゅう、と
今までの暑さが嘘のような、肌寒い風が吹く
秋分の日から、急に秋が感じられるようになってきた
その前までは、本当に秋来る?とか言って、友達と笑い合っていたのに
急に、寒くなって、困るなぁ
衣替え、しなきゃ
ふと、君のことを思う
確か、寒いのが苦手だった、大丈夫かな、とか
寒いの苦手なのに、衣替えが面倒くさいとかいって、最後まで半袖だった、今もまだ半袖なのかな、とか
もう知ることはできない
秋、君を思う
お願いだから
私とあの人の時間を、これ以上奪わないで
あなたが止まれば、私たちの時間は永遠
だから、どうか
あの人が死んでいく時を、もう過ごしたくない
なにもできない私が、あの人の苦しむ姿を見て、泣いているだけの時間なんていらない
どうか、時間よ、止まって
朝のアラームが、私を眠りの海から引き上げる
スマホの画面を見ると、9/12日と表示されている
ベッドから這うように出て、リビングへ
リビングの壁のカレンダーは、一昨年の12月のものだ
そして、12/25日に「デート」という一言が、赤い丸で囲われている
君が12/25日に、僕に別れを告げてから2年
リビングのカレンダーは、一枚もめくれない
喪失感
私の胸の中に、ぽっかりと穴が空いたかのような
何かが、私の普通から欠如しているような
そんな感覚
今まで感じたことのない、初めての感覚
これを、喪失感と言うのだろうか
あなたがいなくなって、私は何もできなくなった
あなたのために頑張った家事も、仕事も、美容も、
全部無駄に思えちゃって
あなたがいなくなったせいで、私は、
蝶のように、ひらりひらりと舞って、あなたとずっと踊りたい
ふわりふらり、綺麗な花畑の上を、華麗に舞う蝶のように
…それができたのなら、どれほど良かったのか
あなたはもう、白い羽を持って、空へ舞って行った
なぜ、私を置いて、花畑へ行ってしまったの…?