わたしは、恋を失った
たいせつで、だいすきなあなたを、失った
あなたのかわりなんて、もういないのに
あなたはあなただけなのに
ねぇ、なんでいなくなってしまったの?
わたしをおいていかないでよ
ひどいよ、あんまりだよ
泥棒猫なんかにたぶらかされて
わたしよりも、すりよってきた猫の方がかわいいのね
ふーん、へぇー、そうなんだー
ゆるさないから。
「ごめんね」
私の耳に届いたのは、私が1番欲しくない言葉だった
君の口から、その言葉が出てきた時、胸が苦しくなって、ぎゅっとなって、なんだかわからないけど、苦しくなる
私の目からは、涙が溢れるばかりで、君をまた困らせてしまう
「ごめんね、ごめん、ごめんよ」
君の目からも、涙が流れる
そんな顔、しないでよ
大好きな人の泣き顔なんて、見たくないから
君は泣かずに、振り返らずに、前を向けばよかったのに
やっぱり優しいから、その優しさが、私を苦しませることも知らずに、優しくしてしまう
「ごめんね…」「ごめん…」
2人だけの、悲しい空気
楽しくて、短いあの頃の時間とは違って、今は、長い長い時間、
お互いがお互いのために動けなかった自分を咎める時間
お互いが、相手だけじゃなくて、自分のことも考えて動けなかった自分に、戒めをする時間
ごめんね
半袖から覗く、白い肌
暑い日差しを反射させて、きらきらとしている
それは、とても魅惑的で、私の思考を鈍らせる
それを見ていると、くらくらしてきて、ぼーっとしてきて、何も考えられなくなる
くるりと振り向く時に揺れる、ポニーテール
綺麗な黒髪がふわりと揺れて、その奥に覗く真っ白なうなじ
なんだかえっちで、ドキドキする
横を通り過ぎると、君から香る君の匂い
振り返って、少し高い君の顔を見ると、君もこちらを見つめてる
白い指を口元に、しーっの合図
そして最後にウィンクを一つ
それは毎晩私を見る目で、ぞくぞくっと、何かが背中をつたう
この学校には、私のような凡人と、高嶺の花の生徒会長が付き合っていること、さらには、あつい夜を過ごしていることを知る人は、私と、生徒会長以外、いない
今夜はどんな声でないてくれるのか、想像しただけでゾクゾクしてしまう
暑い空気に、ハアッと暑い息を吐く、
夏だというのに、吐いた息は、君の白い肌のように白かった
あの頃の私へ
これを見ている私。今の君は、さぞ苦しいだろう。
自分の夢ができて、今まで感じたことがないくらい、その夢の道へ進みたいという、強い欲求がある。
その夢のことを考えるとき、ワクワクして、ドキドキして、でも心の半分くらい不安で、でも高揚感であふれている。よくわからないグチャグチャした気持ちになる。
自分の夢を見つけたんだ。それはいいことだと。素晴らしい。
しかし、その夢を否定されることが怖くて、いとも簡単に切り捨てられることが怖くて、周りの人に言えない。
わかるよ。私だから。隠していれば楽だから。否定される苦しみよりかは、まだいいから。
でも。それで自分を変えられるのか?そのままで、自分の未来は変わるのか?
厳しいことを言う。黙ってても、隠してても、自分の夢なんて叶いこっちゃない。叶うはずもない。他の人に言ってもらっても、それじゃあ自分の夢を叶えても、楽しくなんてない。
今、お前が言わなくてどうする?その気持ちを持ってるのは、お前だけだ。周りがどうこう、じゃないんだよ。お前が、お前しか決められないんだよ。お前しか、言えないんだよ。
今の私は、後悔してる。苦しんでる。泣いてる。死にたくなってる。過去の私を、憎んでる。
そうなってほしくない。お前が歩む未来は、明るいものであって欲しい。たった1人の、私だから、過去の私に、わかって欲しい。
最後に一つ。お前は、お前だ。この世界に、唯一無二の存在。合わなくて、否定されることだってある。気に入られなくて、切り捨てられることも山ほどある。
でも、それは当たり前。その傷が痛いものだってわかってる。痛くて、苦しくて、泣きたくて、うずくまって。それでいいんだよ。
その中で、どう立ち上がって、どう進むか。どう立ち向かって、どう進んでいくか。それを決めるのは、お前だけだ。
お前が今過ごしている時間、その時間が過去になってから、後悔することになってほしくないから。言え。大変なことだ。自分の本当のことを言うのは。でも、言わなきゃ、変わらないぞ。自分の決意を、夢を、目標を。主張しろ、自分自身を。今のお前を。
頑張れよ。
あとがき
長くなりました。今回は、「今の私から今の私」と、「未来の私から今の私」の、二つの意味を込めて書きました。
今を生きる皆さん、今を苦しんでいる皆さん、今を苦しんでいる私へ。
夢は、目標は、やりたいことは、意見は、その人自身の、唯一無二のもの。胸を張って、主張してください。否定されても、切り捨てられてもいいんです。それが自分だから。どうか、諦めないで欲しい。
頑張れ。
君の仕草
考えるときに、右手の人差し指と親指の腹を擦る
深く考えてるときには、それが大きくなって、瞬きも増えて、その仕草が、妙に色っぽくて、ドキドキしてた
君の香り
なんの香りかは分からないけど、甘い、フローラルな香り
その奥に見える、君の自身の香りと、女の子の香り
それが香るたび、僕の頭に殴られたかのような衝撃が走った
君の好きなもの
君自身がかっこよかったけれど、君の好きなものは、可愛いもの
可愛い服を着て、可愛いアクセサリーをつけて、可愛い人形を集めていた君が、どうしようもなく可愛くて、愛おしかった
多分この先生きていく中で、忘れることなどできない
新しく好きな人ができても、もう少しで死ぬとわかっても、忘れられない記憶となっている
だって君は、僕の愛した人の一人で、どうしようもなく愛していたから
記憶の中のどこかには、いつも君がいる
だから、忘れられない、いつまでも。