冬華(トウカ)

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「ごめんね」
私の耳に届いたのは、私が1番欲しくない言葉だった
君の口から、その言葉が出てきた時、胸が苦しくなって、ぎゅっとなって、なんだかわからないけど、苦しくなる
私の目からは、涙が溢れるばかりで、君をまた困らせてしまう
「ごめんね、ごめん、ごめんよ」
君の目からも、涙が流れる
そんな顔、しないでよ
大好きな人の泣き顔なんて、見たくないから
君は泣かずに、振り返らずに、前を向けばよかったのに
やっぱり優しいから、その優しさが、私を苦しませることも知らずに、優しくしてしまう

「ごめんね…」「ごめん…」

2人だけの、悲しい空気
楽しくて、短いあの頃の時間とは違って、今は、長い長い時間、
お互いがお互いのために動けなかった自分を咎める時間
お互いが、相手だけじゃなくて、自分のことも考えて動けなかった自分に、戒めをする時間

ごめんね

5/30/2024, 9:24:30 AM