君の大切なもの
僕の大切なもの
全部全部、大切なもの
なにであろうと、誰であろうと
それは誰かの、大切なもの
君も、僕も、誰かの大切なもの
だから、僕らは生きている
エイプリルフール
一年の中で、1日だけ、たった一個だけ嘘をつくことが許されている日。
それも、人を傷つける嘘はだめ。
相手も、自分も、「なんだよー」と、笑い合える嘘。
それなのに。
今この世界には、悪い嘘がそこら中に転がってる。
嘘を許されたのは一年で一日だけ。さらに一つだけ。
人と笑い合える嘘を許されたはずなのに。
なんで?
人って、なんでそうなっちゃうのかな。
幸せに
みなさん、今幸せですか?
どんな形の幸せでも、それはあなたの幸せ。
誰になにを言われても、それはあなただけの幸せ。
幸せではない人も、いつか見つかる。それが幸せ。
何かしたら、喜びや幸せを感じること。それも幸せ。
今自分のやりたいことができること。それも幸せ。
今できていない人も、いつかは自分のやりたいことができる。それも幸せ。
では、みなさん。幸せに…
「おはよー!」
後ろからがばっと抱きついてくるのは、俺の幼馴染。
高校生になってもするこの挨拶は、小学生から続いている。
もう高校生で、体つきも育ってきているのに、健全な高校生男子にはきつい事である。
しかし今日も、何気ないふりをする。
「んにゃ、おはよ」
そんなふうに始まる一日。学校生活はあまり話すことはない。そして家に帰り、1人の時間が…と思う日もあった。
俺の部屋でゴロゴロして、無防備な格好でいる幼馴染は、今日も変わらず漫画を読んでいる。
そして、俺とこいつは家が隣なこともあり、遅くまでいることが多い。
なので、お風呂に入ってからくることが多いのだが、それがまたきつい。
なんかいい匂いするし、少し湿った長い髪は色っぽいし、ラフな部屋着でいるため、服の裾から覗く横腹がまたまた…
しかし、俺はそれも何気ないふりをして、なにも考えないようにベッドの上に座り、スマホをいじるふり。
「ねぇー、この漫画の新しいのない〜?」
めんどくさいため、
「自分で本棚探せ」
と言うと、「えー?」と言いながら、俺の横に座ってくる。
ぎしりと、ベッドが鳴る。
「とってきてよ〜、ね?」
と言いながら俺をじっと見つめてくる。しかし、俺は無視を貫く。すると、ぶぅ、とした後に、何かを思いついたのか、ニヤリと笑い、俺に寄ってくる。
そして、毎朝するように、俺にふわりと抱きついてくる。そして、妙に色っぽい猫撫で声で
「お願い、とってきて…?」
俺はもう我慢できなかった。
がばりと幼馴染に覆い被さり、顔を近づける。
幼馴染は、なにが起こったのかわかっていないようだ。鼻が触れるか触れないかの距離で、俺は話す。
「毎日俺にベタベタ触りやがって。こっちは毎日モヤモヤしてしかたねぇんだよ。そっちがその気なら、こっちもその気になってもいいってことだよな」
そう言うと、幼馴染は驚いた顔をした後に、緊張した顔になって、頬を赤らめながら、目を逸らし
「…いいよ。あんたになら、なにされても…」
俺は、辞めるつもりだったが、その言葉を合図に、自分を止めることはできなかった。
俺とお前の、唇が触れた。
緊張してるが、ここでも、何気ないふり。
君との関係
ハッピーエンドを迎えたい
だめ…かな…?
そうだよね…だめだよね…
だって君には
大切な人が、もういるんだもんね…
…え?俺の大切な人は、目の前にいるって…え?
もしかして…え…?