狭い部屋
俺は本当だめだよなぁ。
田舎からギター1本持って上京して、
大した金もなくてやっと借りれた部屋も狭くて
こんな部屋だと俺とお前とギターだけで
いっぱいいっぱいなんだよな。
あの日お前を追えばよかったんだ。
夢ばっか追ってないで。
夢じゃなくて、お前だけを見てればよかった。
恋に落ちた時から既に失恋してるんですよ。
こちとら母数が違うわけで、少数派なわけで。
なんとか本気にならないようにって。
もうその時点で恋してるわけなんですけど
見ないふりしないとあまりに辛いんですよ。
失恋
正直
君とあいつってどうなの。正直お似合いじゃないし、
あいつと居る時の君は好きじゃないよ。
君ってもっとクールな感じだったじゃない。
そんなに笑う子じゃなかったじゃない。
最近の君はなんだか、眩しくて僕見てられないよ。
だけどね、本当に悔しいけど、
あいつの隣にいる君は本当に本当に綺麗だと思うよ。
『梅雨』
僕はこの季節が嫌いだ。
服も靴もびしょびしょになるし、ジメジメするし
頭は痛いし、なんとなく気怠いし。
今ではこんなに嫌いなこの季節も
ほんのちょっとだけ好きな頃があった。
あの頃、僕達はなんでも出来る気がしてた。
なんにでもなれる気がした。
頑張れば夢は叶えられるもんだと思ってたし、
空も、今よりもっとずっと近かった。
そうつまり、僕達は子供だった。
庭に咲いてる名前も知らない花も可憐に見えたし、
あの子が世界で一番可愛く見えた。
今となっては顔も名前もはっきりとは思い出せないが。
あの子のからから笑う声が好きだった。
あの子が僕の名前を呼んでくれるのが好きだった。
あの子が呼ぶと僕の名前もなんだか特別に思えたんだ。
あの子は雨が好きだった。
雨の日は、傘もささずに外を走り回っていた。
雨の日の特別テンションが高いあの子を見るのが
僕は好きだった。
笑うあの子をずっと見ていたかった。
やっぱりこの季節が嫌いだ。
服も靴もびしょびしょになるし、ジメジメするし
頭は痛いし、なんとなく気怠いし。
それに、 またつまらない過去を思い出してしまう。
お元気ですか。
こちらは梅雨入りしたばかりで大雨が続く日々です。
紺色の傘を見ると、左肩を濡らしたあの頃の貴方を思い出します。
あの時、雨が止まなければいいのにと言った僕のこと、
貴方が盛大に笑ったの覚えていますか?
馬鹿みたいだけど、あの時は本気でそう思っていたので
少しムキになって怒ってしまったこと、今更だけどごめんなさい。
僕だけが必死に貴方との関係を繋ぎとめているのだと
子供ながらに一丁前に悲しく思ったのです。
あの頃の僕は貴方の言った通り子供でした。
今もそう変わらないですが。
P.S.
大人になると決めました。
貴方に手紙を書くのはこれで最後にします。
体には気をつけて。どうかお元気で。
/降り止まない雨