『梅雨』
僕はこの季節が嫌いだ。
だけどほんのちょっとだけ好きな頃があった。
あの頃、僕達はなんでも出来る気がしてた。
頑張れば夢は叶うもんだと思ってたし
空だって、今よりもっとずっと近かった。
そうつまり、僕達は子供だった。
庭に咲いてる名前も知らない花も可憐に見えたし、
あの子が世界でいちばん可愛く見えた。
僕の世界の全てだった。
あの子が僕の名前を呼ぶのが好きだった。
あの子が呼ぶとなんだか特別に思えた。
雨の日は、傘もささずに外を走り回るあの子を見るのが
僕は好きだった。笑うあの子をずっと見ていたかった。
やっぱりこの季節が嫌いだ。
服も靴もびしょびしょになるし、ジメジメするし
頭は痛いし、なんとなく気怠いし。
それに、 つまらないことを思い出してしまう。
6/1/2024, 12:43:19 PM