『梅雨』
僕はこの季節が嫌いだ。
服も靴もびしょびしょになるし、ジメジメするし
頭は痛いし、なんとなく気怠いし。
今ではこんなに嫌いなこの季節も
ほんのちょっとだけ好きな頃があった。
あの頃、僕達はなんでも出来る気がしてた。
なんにでもなれる気がした。
頑張れば夢は叶えられるもんだと思ってたし、
空も、今よりもっとずっと近かった。
とにかくあの頃の僕達は幼かった。良くも悪くも。
庭に咲いてる名前も知らない花も可憐に見えたし、
あの子が世界で一番可愛く見えた。
今となっては顔も名前もはっきりとは思い出せないが。
あの子のからから笑う声が好きだった。
特徴的な少し掠れた声をしていた。
あの子が僕の名前を呼んでくれるのが好きだった。
あの子が呼ぶと僕の名前もなんだか特別に思えたんだ。
あの子は雨が好きだった。
雨の日は、傘もささずに外を走り回っていた。
雨の日の特別テンションが高いあの子を見るのが
僕は好きだった。
笑うあの子をずっと見ていたかった。
この季節が嫌いだ。
服も靴もびしょびしょになるし、ジメジメするし
頭は痛いし、なんとなく気怠いし。
それに、 またつまらない過去を思い出してしまう。
『半袖』
なんで半袖ってこんなに魅力的なんだろう。
いや違うな。半袖というか、
「 半袖から見える君の腕 」 が魅力的なんだ。
病的に白いわけでも健康的な褐色ってわけでもなくて
至って普通の細くも太くもない何の変哲もない君の腕に
どうしてこんなに惹かれるのか。
なんというか君の夏服って他のと違うんだ。
きらきら光って見えるんだ。
夏の眩い陽射しで照らされてるからかな。
きっと、今年の夏も半袖の君に恋をする。
天国と地獄
貴方が居る そこは天国
貴方が居ない そこは地獄
貴方が居る 地獄でも天国
貴方が居ない 天国でも地獄
こんな歌があったような
雨の音が好き
雨が降ったあとの匂いが好き
窓に伝う雨の雫が好き
「雨やだねー。」と言ってる貴方が好き
雨が降ると、傘を持ってきてるのに
「雨、降り止まないね。」
とここに留まる貴方が好き
雨の日は1つの傘で送ってくれる貴方が好き
いつの間にか左の肩が濡れてる貴方が好き
だから私は雨が好き
『降り止まない雨』