5/30/2023, 11:58:51 AM
ダアンと大きい音が鳴る。
飛び交う声援のなかでまるで独りぼっちのような虚しさをぬぐえない。
「◯◯ちゃんは遅いんだよね」
「えっ、◯◯いっしょの団かよ」
「苦手なら、走らなくていいんだよ?」
そっかあ。走らなくてもいいんだ。
今まで遅いから仕方なかった。迷惑かけてしまうのは知ってた。
負けるから仕方ないって思ってた。
仲間の声援がすこし止む。
胸が痛むのに、どこか慣れてる自分がいる。
きょうで終わろう。
硬く冷たく、鉛のように重いバトン。
ただ、必死に走る私。何かから逃げるように。
弱い自分から逃げ切るために。
5/30/2023, 9:28:34 AM
たぶん、好きだった。
今もきっと好きだと思う。
「彼とは今どうなの」
ビミョーかなと軽く微笑ってみせる。
言うべきかな。1番の友達にも言わないと変かな。
「お前、変わってるよな」
あなたはそう言ったでしょ?
親友の手を握る。
「ごめんね。わたし言ってないことがあったの」
ちょっと緊張すると語尾が上がってしまうの。あなたはそれも変と言ったよね。
ずっとそうだった。
だから殺したの。
49日に私もそっちに行くから、まってて。
「ごめんね」