抹茶売りの少女

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ダアンと大きい音が鳴る。
飛び交う声援のなかでまるで独りぼっちのような虚しさをぬぐえない。
「◯◯ちゃんは遅いんだよね」
「えっ、◯◯いっしょの団かよ」
「苦手なら、走らなくていいんだよ?」

そっかあ。走らなくてもいいんだ。
今まで遅いから仕方なかった。迷惑かけてしまうのは知ってた。

負けるから仕方ないって思ってた。

仲間の声援がすこし止む。
胸が痛むのに、どこか慣れてる自分がいる。
きょうで終わろう。
硬く冷たく、鉛のように重いバトン。

ただ、必死に走る私。何かから逃げるように。
弱い自分から逃げ切るために。

5/30/2023, 11:58:51 AM