後悔
「今更だよ」
諦めているような、冷たくて悲しそうな声が
自責に潰された心に刺さった
私は、また何の役にも立てなかったんだ。
「酷いね、信じてたんだけどな」
信用があった分の失望を感じた
戻らない、取り返せないことを知った
あの時、やるべきだったこと
あの時、できなかったこと
あの時、判断したこと
あの時、ばかりで
もう、後の祭り。
ごめんねで許されたら
警察も医療機関も何もかも要らないんだ
色んなものを失わせた落とし前を
どうつけたらいいんだろう
泣きたいのはそっちだよね
「もういいよ、やり直そう?もう一回」
底無しに優しいあなたは
そっと手を差し出した。
情けなく私はその手に縋って
ふたりで、真っ暗な世界に飛び込んでいった。
「ありがとう」
「次こそ、成功させようね」
轟音とヘッドライト、点滅した信号灯、宙に浮く体
目を見開いて叫ぶドライバー。
もう、がっかりさせないよ。
カラフル
色付いた未来と生活を
欲しがっていることさえ認めずに
現状維持に満足したつもりでいる
楽しみだよ
ひとりぼっちで始める
人生を取り返すための第二章
これからの将来は
モノクロから抜け出していますように。
刹那
後ろを見た。
崖になっていた。
前を見た。
道がなかった。
遠くを見た。
橋のようなものがあった。
すぐに歩き出した。
きっと壊れないと信じて。
数秒前の自分を
一つずつ捨てながら
今だ、と身を投げる。
全て捨てて
逃げ出していく
持続する安定を探して
一瞬の安心を求めて
コンマ何秒ごとに
私は生まれ変わっていく
生き直せるのは
今だけだから。
たとえ間違いだったとしても
社会的信用なんてなくても
学力がなくても
仕事に必須な能力なんてなくても
取り柄がなくても
きっと、咎められないよ
背景を知れば。
そして、明日は我が身だと
私を見て思い知って欲しいよ。
私のできることは
強引で、危険な手立てしかない
そんな不安定で弱い立場だけれど
できるだけ、やってみるよ
たとえこの生き方が
間違いだったとしても。
もしも未来を見れるなら
「さようなら」ばかりの日々が終わって
「ありがとう」と「よろしくね」に
囲まれていますように。