アクリル

Open App
3/22/2023, 1:22:06 PM

バカみたい


吐き捨てた時
不信用の痛みが心臓に広がった。

2度とお前なんかと話さない
今後一切目の前に現れるな

こんなに必死になって
お互いを繋ごうとしていただなんて。

申し訳なかったよ。
もう遅いけれど、できることなら...

あなたと上手くやりたかった。



3/18/2023, 2:01:36 PM

不条理


午後九時半。
見慣れた帰路の、古くさい繁華街を抜けた時、ふと言葉にならない何かを悟った。

合皮の剥がれた靴で向かうのは、ビルの影に建つアパート。

日に日に自分が消えていく恐怖。
毎朝起き上がった瞬間、心の何かが削れていくような感覚に、もう耐えられないと思った。

今日もわずかな金を握りしめて生き延びた。それだけだった。

僕は自室のドアで立ち尽くした。
錆びた鍵穴を前に、妙に生暖かいものが数滴垂れた。

頭の中で誰かの声がする。
僕の声だ。

「どうして」
「もう取り返せない」
「生い立ちを恨んで」
「捨てられないように」
「努力をしろ」

もういいや。

僕はスマホを取り出し、連絡先からあの人を探した。
そして、電話をかけた。


「あの、今夜、連れて行ってもらえますか」

3/16/2023, 3:19:51 PM

怖がり


いつも通り
口をついて出る謝罪の言葉

責めないで。

先回りして顔色を伺う
しらみ潰しに落ち度を消して 
 
「俺のせいじゃない」

逃げの姿勢を取り繕う
何も言えずに黙り込んで 

ついに見つかってしまった
ついに悟られてしまった

「この程度?」

「ごめんなさい」

......!

背中に服が張り付く、嫌な感覚で目が覚めた

またあの夢だ。

今日も変わらず、怯えて生きていく。


3/12/2023, 12:01:33 PM

もっと知りたい


帰り際の駅には、私たち以外誰もいない。

私は2人だけの空間が嬉しくて、高揚感を隠しながら話しかけた。

「お腹すいた、今日忙しくてお昼食べられなかったんだよね」

ね、教えて、何がすき?  

そうなんだ、たこ焼きと、レモンティーか。
レモンティー、私も好き。

ちょっと甘酸っぱくて、爽やかな後味で。

最近レモンの飲み物専門のお店見つけたんだ。
今度一緒に行ってみる?

土曜日開いてるんだ!私もその日はお休みだよ。

改札前に10時とかどう?
ちょうどいい?よかった!

あ、電車来たね

じゃあ、またね。


3/12/2023, 1:10:56 AM

平穏な日常


喉から手が出るほど欲しくて
得た瞬間に手放してしまう

味気ないのかもしれない
今の混沌が自分に色をつけていて

もし揺れ動かない安寧に身を置いたら
きっと私は無色な抜け殻になってしまう。

Next