僕の傘は特別な傘なんだ。
と、特に変哲ない傘を見せてくる隣の家の子。
その隣の家は昔からそこに建っている大地主の家で、立派な蔵がいくつもある。
見てて見ててと傘を持った子がバサッと広げる。
傘の中には……足?
そう、それは唐傘おばけと呼ばれる類のモノだった。
その傘を持った子は、凄いでしょ!!と目を輝かせている。
返答に困った挙句、返した言葉は、
「傘立てに入れる時は、逆さまにしないであげてね」
だった。
(傘の中の秘密)
唐傘おばけって片足のイメージだけど、右足左足どっちなんだろ?
仲間のアリに、
「雨上がりはよく滑るから気をつけて」
と言われていたのに。
枝の上を歩いていて足を滑らせ、ちょうど下にぶら下がっていたドングリの上に落ちた。
帽子にしがみついてそのまま落ちる事は無かったけれど、ドングリごと地面に落ちた。
地面に落ちた衝撃で帽子から振り落とされ地面に転がって、ただ、地面も雨上がりで柔らかくなっていて怪我する事は無かった。
ドングリはコロコロと池に向かって転がって行ってしまった。しばらくしてポチャンと音が聞こえた。
(雨上がり)
童謡ドングリころころのオマージュ、ドングリが落ちた理由。
猿が木の上から柿を投げて来たが、自慢の甲羅で弾き返す。
驚いたような表情の猿をしり目に、木の幹に爪を立てる。
猿はどうせ登って来れないだろうとタカをくくっているが、ゆっくり登り出した姿を見てまた驚いたような表情をしている。
「やい!カニの分際でなんで木に登れるんだ!!」
と猿が聞いてくるが、猿は勘違いしている。
「僕たちヤシガニは木に登れるし、そもそもヤドカリの仲間でカニじゃない」
そう答えながら、柿をひとつもぎ取る。
誤解が解けた猿とヤシガニは勝ち負けなんて関係無く並んで柿を食べるのでした。
(勝ち負けなんて)
サルカニ合戦のオマージュ、ヤシガニはヤドを背負わないタイプのヤドカリらしいけどヤドカリと言っていいのだろうか?
ひいひい爺ちゃんが庭に植えたという豆の木はまだ年間30cm程の成長を続けている。
時折風に倒されそうになるが不思議と持ち堪えてその姿を保っている。
もちろん登ってはいけない。
このままこの豆の木は成長を続けるだろう。
自分がひいひい爺さんになる頃までも。
(まだ続く物語)
ジャックと豆の木のオマージュ、ずっとずっと成長してる豆の木はどこまで伸びているのだろう?
やっと安全な水場を見つけ降り立った1羽のアヒル。
渡り鳥であるアヒルは、何度も水場を変えながらここまでやって来た。
茂みの中に身を隠し、上空に注意を向けつつ休眠体勢をとる。
後から数羽の団体が水場に降りてきた。
「あれは白鳥か?……綺麗だな」
アヒルは種族を無視して白鳥に恋してしまったもよう。
そしてなにか不思議な事が起きて色々あってみにくいアヒルの子が産まれるのでした。
(渡り鳥)
みにくいアヒルの子のオマージュ、実際にはありえないシチュエーション。