光る竹は笹の葉の奥に見える。
半袖半ズボンのお爺さんは困ってしまった。
さらさらと音を立てる笹の葉は、ノコギリの様に切れやすく掻き分けて入って行ったら間違いなく傷だらけになってしまう。
1度帰って長袖長ズボンに着替えてくるしか無いだろうが、もう日も暮れそうで今からでは真っ暗になってしまう。
諦めるしかないのかとその場を後にする。
光る竹を守るように笹の葉はさらさらと音を立て続けている。
(さらさら)
かぐや姫のオマージュ、笹の葉は本気で切れるので危険。
「これで終わりだ!!」と鬼の腹に刀を突き刺してとどめを刺す。
鬼が力無く倒れた事を確認し刀を引き抜く。
刀は刃こぼれが酷く、もう切ることは出来ないだろう。
ギリギリで最後の戦いをしていた状態だ。
が、足を掴まれ地面に倒された。
「誰がこれで最後だと言った!」とどめを刺したはずの鬼が起き上がった。
鬼もギリギリなのは間違いないが、その気迫と力で起き上がったのだ。
まだ戦いに終わりは見えない。
(これで最後)
桃太郎のオマージュ、やっぱり鬼強えぇなもよう。
政略結婚させられて、好きでも無い人と一緒に居るうちにだんだん慣れてきて、いつしか名前で呼び合うようになったのはいつ頃だったかしら?
ふとそんな思い出が浮かんできた。
原因は久しぶりに会った両親のせいだろう。
シンデレラお母様は純愛の後結婚したと聞いている。
まぁ、お母様の事はどうでもいいわ。
王子の君の名前を呼んだ日、初めて呼んだ日の事を思い浮かべる。
初々しい姿とぎこちない声を思い出し、ただただ赤面した。
(君の名前を呼んだ日)
シンデレラの娘の物語、シンデレラも結婚したなら娘くらい居るよね。
家屋はボロいが農産物の収穫量や質はとても良い物を作る老夫婦が住むこの家の屋根裏には2人の神様が一緒に住んでいる。
貧乏神と福の神だ。
貧乏神は昔からここに住んでいてそのせいで家屋がボロいのだが、福の神が来てからは今まで雨漏りしていた箇所からの漏れは起きず、代わりにやさしい雨音が室内に響くようになった。
梅雨時期に差し掛かった季節、やさしい雨音を今年も楽しもうと老夫婦は屋根裏の神様達にお供えを上げるのでした。
(やさしい雨音)
貧乏神と福の神のオマージュ、雨の日にとあるゲームのBGMが脳内再生される民挙手。
「森のくまさんって歌あるでしょ?」
「ある日、森の中、くまさんに、であった♪ってやつ?」
「そうそれ、それをねアルフィーが歌うとどうなると思う?」
「アルフィーって、THE ALFEEの事だよね?カッコ良く歌い上げるだけじゃないの?」
「多分ねこうなると思うの、ちょっと聞いてて」
「うん」
「アルフィー、高見沢、櫻井に、坂崎♪」
「リズムはあってるけどさ…絶対そうは歌わんだろ」
「そうかなぁ?」
(歌)
どこかで聞いた馬鹿げた会話の記憶。