猿が木の上から柿を投げて来たが、自慢の甲羅で弾き返す。
驚いたような表情の猿をしり目に、木の幹に爪を立てる。
猿はどうせ登って来れないだろうとタカをくくっているが、ゆっくり登り出した姿を見てまた驚いたような表情をしている。
「やい!カニの分際でなんで木に登れるんだ!!」
と猿が聞いてくるが、猿は勘違いしている。
「僕たちヤシガニは木に登れるし、そもそもヤドカリの仲間でカニじゃない」
そう答えながら、柿をひとつもぎ取る。
誤解が解けた猿とヤシガニは勝ち負けなんて関係無く並んで柿を食べるのでした。
(勝ち負けなんて)
サルカニ合戦のオマージュ、ヤシガニはヤドを背負わないタイプのヤドカリらしいけどヤドカリと言っていいのだろうか?
ひいひい爺ちゃんが庭に植えたという豆の木はまだ年間30cm程の成長を続けている。
時折風に倒されそうになるが不思議と持ち堪えてその姿を保っている。
もちろん登ってはいけない。
このままこの豆の木は成長を続けるだろう。
自分がひいひい爺さんになる頃までも。
(まだ続く物語)
ジャックと豆の木のオマージュ、ずっとずっと成長してる豆の木はどこまで伸びているのだろう?
やっと安全な水場を見つけ降り立った1羽のアヒル。
渡り鳥であるアヒルは、何度も水場を変えながらここまでやって来た。
茂みの中に身を隠し、上空に注意を向けつつ休眠体勢をとる。
後から数羽の団体が水場に降りてきた。
「あれは白鳥か?……綺麗だな」
アヒルは種族を無視して白鳥に恋してしまったもよう。
そしてなにか不思議な事が起きて色々あってみにくいアヒルの子が産まれるのでした。
(渡り鳥)
みにくいアヒルの子のオマージュ、実際にはありえないシチュエーション。
光る竹は笹の葉の奥に見える。
半袖半ズボンのお爺さんは困ってしまった。
さらさらと音を立てる笹の葉は、ノコギリの様に切れやすく掻き分けて入って行ったら間違いなく傷だらけになってしまう。
1度帰って長袖長ズボンに着替えてくるしか無いだろうが、もう日も暮れそうで今からでは真っ暗になってしまう。
諦めるしかないのかとその場を後にする。
光る竹を守るように笹の葉はさらさらと音を立て続けている。
(さらさら)
かぐや姫のオマージュ、笹の葉は本気で切れるので危険。
「これで終わりだ!!」と鬼の腹に刀を突き刺してとどめを刺す。
鬼が力無く倒れた事を確認し刀を引き抜く。
刀は刃こぼれが酷く、もう切ることは出来ないだろう。
ギリギリで最後の戦いをしていた状態だ。
が、足を掴まれ地面に倒された。
「誰がこれで最後だと言った!」とどめを刺したはずの鬼が起き上がった。
鬼もギリギリなのは間違いないが、その気迫と力で起き上がったのだ。
まだ戦いに終わりは見えない。
(これで最後)
桃太郎のオマージュ、やっぱり鬼強えぇなもよう。