自分がどこにいるかも分からないが、とりあえずうろうろと道らしき所を歩く。
そういえば、前を歩いていたはずの兄が居ない。
どうしようどうしよう。
辺りを見回すが痕跡なんてものはない。
お腹減ったなぁ。
そうだ、カバンにパンが入っていたはず…ダメだ、道しるべの代わりにちょっとづつちぎって落としていたからもう無いんだった。
こんな事になるならちゃんと兄と手を繋いでおくべきだった。心配してるだろうなぁ。
(手を繋いで)
ヘンゼルとグレーテルのオマージュ、昨日の投稿のもう片方のようす。果たして会えるのだろうか?
ここはどこだろう?
道に迷ってから幾分経ったかも分からない。
初めのうちに迷わないようにと落としていった目印も見つからないのでは意味が無い。
辺りには家も川も何も目印になる様なものも無いせいで自分がどの方向を向いているかも分からない。
本当にどこに居るのだろう?
そういえば、一緒に居たはずの妹が居ない。
どこ?どこに…慌てて探しに戻ろうとする。
振り向いた瞬間、無理だと分かる。
自分自身どこにいるかもわかってないのだから。
(どこ?)
ヘンゼルとグレーテルのオマージュ、完全迷子の離ればなれになってしまった2人は無事に会えるのだろうか?
「大好き大好き大好き大好き大好き大好き」
と飼い主にアピールする。
ヘソ天したり擦り寄ったり飼い主の周囲をぐるぐると走り回ったり。
でも飼い主は、「おぉシロや、ご飯かえ?」とか「散歩の催促かい?」とちゃんと大好きの意味で受け取ってくれない。
畑でいつものように「大好き大好き大好き大好き」と飼い主にアピールすると、何を思ったか飼い主は「ここを掘って欲しいのかい?」と言い穴を掘り出した。
「違うのそうじゃないの」と吠える。
しばらく穴を掘った飼い主が金銀財宝を掘り当てた時にようやく抱っこしてくれた。「やっと伝わった!大好き大好き大好き大好き」と飼い主の顔をべろべろ舐め回す。
(大好き)
花咲かじいさんのオマージュ、ここ掘れわんわんの真相的な感じ。
水面から顔を出して片想いの相手を見つめる。
あぁ、叶うならあの隣に座りたい。話したい。
相手が一瞬こちらを見た気がして慌てて水中に潜る。
どうせ叶わぬ夢なのだ、夢のまた夢なのだ。
あくる日もあくる日も水面から眺める程度しかできないあの想い人は地上の2足で歩くやつに興味を持ったようで最近は陸の方ばかり見ている。
自分の足は2本ではない。
落ち込んで海底に沈んでいる間に色々あったようで知らぬ間に片想いの相手は2足歩行になり地上で暮らすようになってしまった。
叶わぬ夢は叶う間も与えられず終わった。
(叶わぬ夢)
人魚姫のオマージュ、人魚に恋した海中生物の夢。
「ふふふっここなら見つからないわよ」
そう企んで、小さな隙間に身を隠す。
「もういいかい?」の声と共に、捜し出した音がし始める。
すぐに近くまでその音は近付いて来て、
「見つけた」の声と共に相手が自分にタッチする。
「なんですぐに見つかるの!?」
と相手に聞く。
「君は親指くらい小さくて隙間に隠れやすいけど、花の香りと共に隠れてるからすぐに分かるんだ」
と言う。
花の香り…そうか。
なら次に隠れるのはあそこねと決めながらもう一度かくれんぼをする。
「もういいかい?」の声は隠れた花瓶のすぐ近くでした。
(花の香りと共に)
おやゆび姫のオマージュ、王子様とかくれんぼの様子。小さくて隠れやすくても香りは隠せないです。