以前、TVの企画で紹介されていて気になっていた飲食店を探して、その記憶を頼りに現地へ向かっていた。
その店は、ホームページはおろか、地図アプリにも店名を表示させておらず、正確な場所が分からないのだ。見つけれた人だけが店に入れるのである。
TVで建物外観の映像は映っていたはずだが録画等はしておらず、店のある地区名だけメモしてあったのだ。
っと、どこからともなくいい香りが漂ってきている。もしかしてとその香りを追って1軒の家の前に辿り着いた。
普通の民家の様に見えるが、玄関ドアの上に【Cafe・家猫屋】と看板がかかっていた。
ここだ。とドアノブを回す。
入った先はすぐ小部屋になっており、壁に【ココは気まぐれなカフェです。次のドアを開ける前に下にある名簿に氏名の記入をお願いします。】と書かれていた。
なんか、注文の多い料理店って絵本があったなと思いながら名前を書き、次のドアを開ける。
そこからの記憶は、あまり覚えていない。
気が付いた時には財布の残金が残っておらず、服は毛だらけで、手にはチュールの空袋が握られていた。
この文章を読んでいる者が居るのならば、家猫屋には行かないでと警告しておこう。全財産を失うかもしれない。猫好きなら特にだ。
(行かないで)
注文の多い料理店オマージュと見せかけて、ただの猫カフェだった。
【人間の目に光として感じる波長範囲の電磁波。波長範囲の下限は360-400 nm、上限は760-830 nmである。可視光線の波長は、nm(ナノメートル)単位で表されることが多い。1 nm = 1×10-9 (0.000000001) m。波長によって異なる色感覚を与え、紫(380-430 nm)、青(430-490 nm)、緑(490-550 nm)、黄(550-590 nm)、橙(590-640 nm)、赤(640-770 nm)として認識される。
また、赤外線は、780~10万nmの波長域の光のことを指し、日焼けの原因になることで知られている紫外線の波長域は10~380nmです。】
科学の本をそっと閉じて空を見上げる。
今まさに430nm〜490nmの可視光線で満たされたどこまでも続く青い空が広がっている。
心地よい空のしたの読書というのもたまには悪くないなと思う反面、紫外線対策をちゃんとして来るべきだったなと図書館へ逃げ込んだ。
(どこまでも続く青い空)
衣替えの時期とは言うが、急激に寒くなったり、また暑くなったりで服選びに時間がかかる。
仕事で着る作業着も長袖の人が少しずつ増えてきているが、自分はまだ半袖のままだ。作業で動いていれば汗だくになるし袖が邪魔だからなのだが、そうわ言っていられない寒さがそのうちやってくる。
雪が降ったら衣替えをする合図だ。
(衣替え)
スタートと同時に後ろから声援が飛んでくる。
「ベンガベンガベンガベンガベンガ!!」
うるさい声援から少しでも遠ざかるように足に力を込めて走る。
「ベンガ」とはスペイン語で「早く」等を意味する言葉だ。
今の状況だと「行けっ!」っていう意味の声援になる。
後ろで声援を飛ばしながら着いてくる監督は、声が枯れるまで「ベンガ」と叫び続けるつもりだろう。
走っているこちらとしてはかなりうるさい。
思わず声が枯れる勢いでうるせえー!と叫び返す。
「ベンガ」の声援はいっそううるさくなった。
(声が枯れるまで)
とあるアニメ映画へのリスペクト。
その日の魔女は特に忙しかった。
この魔女は新しい道具を創るのに長けているから、他の魔女からあの道具を創ってくれ、こんな道具が欲しいと依頼を受ける事が多いのだ。
今日は、「野外に置いても衛生面に影響しないお菓子」と「華麗なドレスになる魔法を込めた杖」と「昏睡状態になる程度の毒リンゴ」と「天まで届く枝豆の種」を造らないといけないのだ。
今まで創った魔法道具のレシピメモをいくつも引っ張り出して転用できそうな魔法が無いか探していく。
新しい魔法道具のレシピを書いたら作業開始だ。
道具創りの始まりはいつも魔法の大釜に火を点ける事から始まる。
(始まりはいつも)
魔女の出てくる童話が多いから、魔法店みたいなのもあるかな?と思い立った。