りゃん

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3/21/2023, 11:20:36 AM

結婚生活はそんな甘いものではなかった。
スタートは1DKのアパートで二人きりで過ごした。
新婚3ヶ月で借金が発覚して絶望した。
離婚も考えたけど心を入れ替えるというあなたの言葉を信じた。
それでも倹しく暮らして6ヶ月には子どもを授かった事が分かった。あなたは父親業という責任から鬱を発症して休職し生活が侭ならないので1年も満たずに舅姑と同居になってしまったわね。
それからの20年子育てに介護に1つも自分の時間なんか持てなかったし毎回嫁姑バトルが始まれば決まってあなたは義母さんの味方だった。今風に言えばモラハラ夫とパワハラ姑に洗脳された隷属の20年間だった。
先日15年間の介護生活だった最後の姑を見送り、子どもも成人式を迎えて新社会人として巣立ち、あなたとふたりぼっちになってしまったわね。
義母さんを亡くしたあなたはまるで抜け殻のよう。
やっと自由な時間が出来たというのに義母さんとそっくりなあなたを見ていると先が思いやられるわ。
もう誰にも気兼ねしなくていいから熟年離婚してみようか、それともふたりぼっちの生活でお互いに孤独死避けるため見張っておくか、どちらがいいかしら?

『ふたりぼっち』

3/20/2023, 11:46:57 AM

「パパ見て!スゴイ。」
「本当だな。奈穂の顔より大きいな。」
と微笑む父を前にチョコレートパフェと格闘して
鼻の頭にチョコをつけながらも上機嫌に足をブラブラさせていた。
3歳の頃別れた父はたまにしか会えないチョコレートパフェをご馳走してくれるおじさんだった。
物心つく前なので寂しいとか悲しいとかの感情は無く本当にただの『チョコパフェおじさん』だった。
「奈穂はさ何色がすき?数字だと何番がすき?」
「うーんとね!オレンジと5」
「そうか、よしちょっとパフェ食べて待っててな。すぐ戻ってくるから」
そうやって何分経っただろうか?
6歳の女の子が顔より大きいチョコレートパフェを
食べきれず、ふと顔を上げると父が戻ってきて
「でかしたな!奈穂。万馬券だ!チョコレートパフェ食べ終わったら遊園地行こうな。」
「やったぁ遊園地!でももうお腹いっぱいでパフェ入らないよ。」
「じゃ遊園地行こうな。出ようか。」

というところで目が覚めた。
今考えると碌でもない父で母が借金が理由で別れたとしても仕方ないことだと思う。
私はもう27才になる。何だって今頃こんな夢見たんだか。でも朧気ながら茶目っ気のある優しい目をした眼鏡の似合うイケメンだったような気がしている。
「あーあ。潮時かな・・」
会社勤めして5年、父の面影に似た優しい目をした眼鏡の似合う部長とただならぬ仲になったのはやはりファザーコンプレックスなのだろうか?
仕事でのミスをフォローしてくれたことをきっかけに少しずつ好意を寄せるようになってそんなの良くないよなって思いながら食事行って凄い贅沢をさせて貰った。私が元彼と別れてドン底だったときに寄り添ってくれた彼。
パパの夢から醒める前にちゃんとお別れ言わないとな…
奈穂は新しく下したヒールを履いて家を出た。

『夢から醒める前に』

3/20/2023, 7:24:40 AM

なんか面白そうだなって始めたオンラインゲーム。
ギルドに参加して音チャするようになった。
半年位毎日遊んでたらふと君の声が聞けないと寂しく感じる僕がいた。
たまにギルメンと時間が合わなくて二人きりで遊ぶこともあった。
冒険のクエストにでる度に仮想世界だけど現実の僕よりかは勇気を出して守ってあげなくちゃって思えるんだ。
「あぶない!」
「ありがとう、○○のおかげで助かったわ!」
なんて言ってもらえたら僕はちょっと誇らしかった。
刈り場のレベル上げ作業の時、夜中のテンションもあって悩んでいた君の話を聞くこともあり秘密の共有に何だか君のこと考える時間が増えてきた。
アレ何だかおかしいな?

1年を過ぎた頃過去最大のギルドイベントがあって皆の頑張りもあって結構良い成績を収めた。
リーダーが興奮して
「ねね!お祝い兼ねてオフ会やらない?」
とギルドメンバーに提案してきた。
皆賛成で程なく日時も決まった。
「みんなに会えるの楽しみだね。」
「俺はアバターに寄せてるから。」
「私は反対のイメージだから驚かないでね。」
口ぐちに期待とネット上の付き合いとリアルが融合する瞬間に少しばかりの心配と受け入れて貰えるかの不安を抱えながらギルドメンバーには申し訳ないが僕はあの子に会えることにドキドキしてきた。
会ったらなんて言おう、好きです。いやそれはないだろう。会って早々焦りすぎだ。ていうか好きなのかな?確かに会って見たいって思ってる。声も可愛い。だけどまだあったこと無いんだぜ、ナイナイナイよな?

今日いつもより早く起きた。
身だしなみが大丈夫か3回も確認した。
なんで緊張してるんだろ。ギルメンに会うだけだし、気合いなんか入れてねーし。なんて自分に言い聞かせながら家を出る。

待ち合わせの場所が見えてきた。
やべ緊張するな、もう誰か来てるかな?
えっと目印のアレ何だっけ?
「あの、○○君ですか?」不意に死角から呼びかけられて振り向いた先に君がいた。

心臓落ち着けって俺!
「あ、そうです。」
「良かったぁ。あの私☆☆です。」
「えっそうなの!」
てやっと答えられた俺は今日を無事過ごせるか自信が無くなってきた。
もうさ心臓が耐えられなさそうだよ。鼓動が君に反応し過ぎてヤバイ。五感が冴えまくってるのか良い匂いがするし、生声はチャットから聞いてる声より可愛いし、何より君を見た瞬間、俺の全細胞が騒ぎ出した。なんだこれは!電撃に打たれたとかって聞くけどそんなのよりももっとスローモーションで明確に君だけがポップアップされていくような、ほんの一瞬のことだと思うのに2時間以上の映画を見ているような・・

僕はどうやって家に帰ってきたのかよく覚えてない。君はまだ早いからカフェ行こうって僕は普段甘いの飲まないのに同じ物をとしか言えなくて飲んだ
キャラメルショコララテの味は一生忘れられない。
そして何がどうなったか分からないけど付き合うことになったって誰が信じられる?
ラインの通知音に慌てて画面を開く。
「今日は楽しかったね!何時にログインする?
また2人で会いたいな。」
彼女からのラインにまた俺の細胞が疼き出す。
彼女に触れられる日はいつになるだろうか・・
と考えながら逸る胸を押さえつつラインの返信を
考えていた。


『胸が高まる』




3/18/2023, 10:55:01 AM

『亡くなった祖父から聞いた話』

 「じいちゃんはな、満州へ戦争に行ったんだ。
だけどな人を殺したくもないし、自分も死にたくないから義賊になった。国から食べ物盗んでさ、その日食べ物がない中国人達に配ったんだよ。当時からしてみれば非国民と呼ばれた脱走兵だったろう。亡くなっていった仲間に申し訳ない気持ちもある。
けどな自分のしたことに後悔はない。
あの日生きながらえた人が家族を増やし、何とか日本に帰れたじいちゃんには孫の顔も見れたしな。」
祖父が死が近くなって初めて聞いた話だったがどの立場で何が正義かも答えが出せない。
不条理な世界をただ一心不乱に生き延びた人の選択は何という覚悟だったろうか・・・
時間を浪費して堕落した今を生きる日々に情けなく
思った私は何か誰かに伝わるだろうかと祖父ほどの覚悟はまだ持てないが書いてみる。

『不条理な世界』

3/18/2023, 4:25:31 AM

『泣かないよ』

君が複雑な想いを抱えて悩み、不安を断ち切って
前を向こうと自分を奮い立たせて毎日を過ごしていること。日々上手くいかなくて試行錯誤し必死にもがいていること。
成長した自分を見せたくて中途半端な自分を見せて幻滅されるかもと恐れていること。
出会いには別れが必然で出会った意味を考えて
離れて行く君は役割を終えたと私に成長を促しているんだね。
だから私は今は辛くても泣かないよ。
全てのことに感謝出来るように前を向いて行くね。

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