【今日だけ許して】
(※性的表現有り🔞)

「あんたの甘い言葉 嫌い」
「あんた ウザイ」
「あんたと会わなければ良かった」

初元カノのあの子は
相変わらずに連れない。
それがあの子にとってのスタンダード。

それでも「そっか でもオレは好きだよ」と言う。

「友達と遊びに行ってきた」と言っても
「彼氏ができた」と言っても
「お金無くて会えない」と言っても
「売🔞をしようとした…」と言っても
オレはあたたかく迎える。

「LINEブロックしてごめんね」
「いいよ おかえり」

いつだってオレは初元カノを待つ。

でも、

「あのね…
明日あたしと会わない？」
「いいよ」

オレはそんなずるい初元カノをお仕置きしたいし
初元カノもソレを望んでいる。

「ねえ、今だけ言わせてよ
…愛してるよ」
「言わないで…」

言葉とは裏腹に
長い間こんな関係が続いていたせいか
初元カノはいつの間にか
オレの言葉で勝手に反応してしまう体になっていた。

「かわいくて 素直な君が好きだよ」
「やだ…」
「嫌がっていても
体はオレのこと 好きだってさ」

官能に響く声は更におたがいの体温を熱くしていく。

いつの間に夢中になり
すっかり出来上がっていた初元カノは
オレに情熱を求める。

「もっと…
あたしに優しく囁いて…？」

ただ全身にビリビリと上り詰めていく
熱が更に恋しくなり、増していく。

「は…ああっ…」

やがて力が抜け
初元カノは体を少し震わせながら
ぐったりとベットに倒れ込んだ。

しばらくして、部屋から出たら
またいつものように初元カノは連れなくなる。

「今日はありがとう」
「こちらこそ また会おうね」

これがいつもどうりのオレ達だ。

所詮『これだけ』の関係だ。

部屋から出たら
もうオレ達はただの『友達』。

いつもどうりに
初元カノは彼氏さんと、
オレは旦那と過ごすだけ。

「つぎは…その…」
「なあに？
オレから どんなお仕置きされたいの？」
「お、おもちゃで…」
「ふーん…♪」

…なんて
オレ達はLINEの会話は
アブナイ ムードが漂ったままである。

【遠い足音】

「もも！おいで！」
そう名前を呼ぶと
桃色の首輪の鈴を鳴らしながら
嬉しそうにこっちに駆け寄ってくれる。

オレの一番の愛猫 『桃子』

実家には4匹も猫を飼っているが
その中でも一番お気に入りの子だ。

きれいな毛並み、
凛とした顔、
きなこもちのような模様、
可愛い鳴き声、
上品でおしとやかな仕草、
全てが愛おしい。

初めて家に来てから
ずっとオレの胸元に乗って寝るのが好きだった。

自分で扉を開ける賢い子で
寂しくなると手でおねだりして布団に入ってくる。

実家に過ごしていた時は
一緒に寝るのが当たり前だった。

振り向いたら近くにいる。
絵を描いている時も、
飯を食べる時も、
ずっと一緒だった。

…今どうしてるかな
寂しくしてないかな
体調崩してないかな

会いたいな…。

【秋の訪れ】
(※性的表現有り🔞)

『秋』は人肌恋しくなる季節。

ねえ、『おままごと』しようよ。

『パパ』のように 叱って、
『先生』のように 教えて、
『兄』のように 遊んで、
『先輩』のように 優しくして、
『上司』のように 指示をして、
『恋人』のように 愛して、
『愛人』のように 散らかして、

ほら、
この芸術品のようなこの体を
君が読んでいる本のような姿にして
食べてよ。

君も食べたいでしょ？
『禁断の果実』を。

こっちに来て食べて？

ねえ、『ダーリン』

【旅は続く】

オレの心には初元カノのあの子、
でもオレの隣にはパートナーの旦那。

悩みに悩んで 遠回りをしすぎたせいか
こういう現実の結果になってしまったわけだ。

「あたしと逃げて一緒に暮らそう？」と言う初元カノ。
「オレと良い家庭を築いていこう」と言う旦那。

「好き…でも…」と脳内でグルグル渦巻いている。

『どちらも』なんて許されない。
だから悩んでいる。

あのままずっと初元カノを忘れるように
他人を探さなければ良かったのか、
それとも現実を受け入れて初元カノの幸せを願い
旦那だけを想い続ければ良いのか、

「わからない」「どうしよう」

ずっと ずっと …

【モノクロ】
(※LINEでの会話の引用なので読みずらいです。)

「実を言うとさ、あなたの事を『悪友』って思ってる」
「それは知ってる」
「今もずっと親からも、仲良くしてる同級生からも
『関わるのやめなよ』と言われ続けてる。
じゃあ何故今もこうしてるのか…」
「だからLINEブロックしたんだろ？
わかってるよ」
「あくまでも、同級生たちは『健全な関係』であり、
あなたとは違うのよ
変に依存してる自分も自分だから何も言えんけど」
「昔からの理解者と思えば
依存してる理由もわかるけどな」
「まぁ、今もずっと、判明した自分の障害について
理解してくれないのは傷ついてるけど、
本当の理解者は今の彼氏だと思ってる。
あとあなたは理解者というより、
持論をぶつけてるだけかと思う。」
「前からそうだが
自分ではオレのこと嫌がっているけど
なんだかんだついてきてたじゃないか」
「悪く言えば、小学校に転入してからの
『いじめられっ子の集まり』」
「中学卒業の時、
「別の高校行く」「一緒になりたくない」って
言ってたくせについてきたじゃないか」
「学力の問題だからしょうがないやん
模試すらダメだったし、あの高校に行くにも
不安で無理だったし…理由並べてるだけだが」
「オレも高校入って新しい友達見つけたり
恋人作ったりしたけど
どうしても君が視界に入って集中できないし
ずっとモヤモヤしてた。
…『情』ってやつか？
自分なりに離れようとしたがダメだったぜ」
「てか中学生になったばっかの頃、
あなたが変な色目してきてさ、
あたしが先生にチクったの覚えてる？」
「それ思ったんだが
思春期真っ最中の子供がそんな話聞いても
「所詮思春期のガキ」程度にしか
先生は思ってなかったと思うぜ？
「距離をとれ」ぐらいしか言われてないだろ？
オレもサラッと言われたぐらいだったから
何言われたか印象にないけどな。
…っていうか
この人達はオレの何を知っていると言うんだ？
君から聞いた悪い話しか聞いてないだろ？あと印象。
そりゃ「やめとけ」っていわれるよな？
なあ…どうして君は『オレ』なんだよ」
「どうしてだろね
『残され組』だから？」
「だからといって『オレ』じゃなくても
良かっただろうに」
「クラスで無理やり
あなたとペアをやらされた『苦痛』は計り知れないよ。
高校入ってから本当に助かったけどね。」
「『苦痛』か、やれやれ…」
「『仲良いから』とかじゃないよ。
他のみんなともペア組みたかったよ」
「言えば良かったんじゃないか？」
「それで通じる？応じる？」
「そのはずだ。
嫌がられると思ったか？
オレじゃないから大丈夫だったろ。」
「部活の時だけは良かったよ」
「ほらな。」
「あなたと同じ扱いになりたくなかったのに。
転校してから他の男子から『キモイ』と言われるように
なり…何故かあなたと同類みたいな扱いされる様に
なったり…
こうなりゃ不登校になれば良かったよ」
「一緒にいるだけでそう思われる世の中だからな。
『類は友を呼ぶ』というし、そういうことなんだろ。」
「先生からも『友達は選ぶんだよ』とか
『ダメ友』って言われたし、
そう言ってもそんな積極性ないし、
動いても失敗するし、余計に周囲から浮くし。
何なんだよもう…
本当にあなたと出会わなきゃ良かった」
「今更遅いよ
はぁ…オレ達、終わってるな。」
「あなたと出会わなかったら『行為』なんて知らずに
『純粋』に育っていたかも…」
「知ってもそうはならないはずなんだよ
どの道知るし。
ってか「してみたい」って言ったのは君だろ
3DSのカメラでキスしているところを動画に撮ったり
好奇心で脱いで行為してみたり
オレもあの時は驚いたぜ？
恥ずかしくてあの時すぐに動画は消したけど…
ほんとに…はぁ
そこからオレも変にスイッチ入っちまったんだな…」
「スイッチ入ってんのは
あたしと出会う前からでしょ」
「『ガチ』にはなったことはなかったよ
ある意味君には
オレの『初めて』を奪われた気がするぜ
…なんか恥ずかしくなってきた」


「まったく、どの口が言ってるのか…」
なんて思いながら
オレはこっそり録音した初元カノの声を
イヤホンで聞き流す。

あの子の「もっと…」と良がってねだるその声が
またあの熱を思い出させる。