【未来】
「これで 晴れてあなた達は『夫婦』です。
おめでとうございます。」
『婚姻届け』を出したオレ達…
いや、『婚姻届けみたいなもの』を出したオレ達
あれは5年前だ。
オレ達はインターネットで知り合った。
2年前
10/26に交際を始め
11/12に初めてリアルで会い
12/24のクリスマスイヴに
雪のなかでプロポーズをされた。
そして『結婚前提』に交際し、
去年は毎月デートをし、思い出を作った。
たまに「子供が居たら」なんて
「もしも」の話をしたりする。
女の子だったら『なのは』
男の子だったら『つかさ』
だが、そんな憧れを持っていても
オレ達は子供が出来ないのだ。
なぜならオレ達は
『男同士』だからだ。
好きな人と一緒になれるのは嬉しい。
だが 周りは冷たい目でオレ達を見る。
周りの目が気になって
人前で手を繋いだり、
「恋人」と言うのが苦手だった。
そんなオレの気持ちを
彼は優しく気遣ってくれた。
「結婚したら同棲しよう
そうすれば人目気にせずイチャイチャ出来る」
彼はオレとの同棲を考えていた。
「それと 子供は『養子』を迎えようよ
オレ達の実の子供じゃないけど
きっと良い家族になれるはずだよ」
オレは彼の考えに賛成した。
そしてオレ達は
市役所で『婚姻届け』(みたいなもの)を提出し
『夫婦』として生活を始めた。
いつか養子を迎えて
『本当の家族』の様に家庭を築き、
『ママ』と呼ばれる時を待ち望んでいる。
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[おまけ]
オレ「ねえ、結婚したら何やりたい?」
彼「今まで道理だよ」
オレ「何するの?」
彼「好きな事 やるの!
結婚しても2人でやりたいこと
やっていこうよ!」
オレ「するの?」
彼「もちろん子供も含めてね!」
将来が楽しみです。
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【1年前】
1年前
ふと思い出してみる
何があったかな
…。
そうだ、
あの時はネットカフェでバイトをしていた時だ。
自宅から自転車で3分
オレはワイシャツに黒いベストとエプロンを身にまとい
仕事をしていた。
オレの仕事は『掃除』『厨房』それだけだった。
日によって役割分担され分かれていた。
『掃除』はお客様が帰った後の片付け。
混んでいる時は時間との勝負で
待たせる訳にはいかなかった。
もちろん
ゴミや返却物が多くあるので大変だ。
多数無用な物の使用、食べ残し…
正直イラだっていたが『お客様は神様』なので
それを『感謝』ととらえ、頭をさげるしかなかった。
『厨房』はお客様の注文が入ったら
すぐ調理に取り掛かり、部屋まで持っていく作業だ。
レタス、パプリカ、ネギ等の野菜の仕入れ、
ほとんどは冷凍食品なので作るには苦労しなかった。
やはりポテトは特に人気でよく注文が入る。
ポテトは直ぐに提供できるので楽なのだ。
他にも以外と人気だったメニューが
カツ丼、うどん、鶏軟骨の唐揚げ、チャーハン。
特にカツ丼はちょっと調理するのが複雑で
苦手であった。
…それで
オレがこの仕事を辞めた理由が
『クビ』だ。
理由は『レジ』を覚えてないからだった。
研修期間に『掃除』『厨房』『レジ』を
覚えなきゃいけないのだが
オレはその『レジ』の仕事をまだ教えて貰えてなかった。
オレはそれが理由で辞めさせられてしまった。
あれから1年経っても店の前を通る度に
扉越しに見えるレジの様子をチラリと見ることがある。
そこに当時 仲の良かったバイトリーダーが
いつもの眩しい笑顔で客と話していても
オレと合わせる顔はなくて
オレは静かにその場所を横切るだけ。