【子猫】#82
殺してやる、とかさぁ思ったことない?
一度や二度あるでしょ?
ないなんて言わせないよ。
こんな自分で終わらせられちゃう道が
真隣にある社会で生きてるのにね。
本題戻るけど、殺しちゃえば良い。
でもバレたら君の負けだよ。
捕まったら何もかもおしまいだから。
君が殺されたってことになる。
バレない殺し方教えてあげようか?
うん、うん。
それはね、
信頼してるところをコロッとするんだ。
信頼してるやつに殺したいとか思わんやろ?
だからそこを突く。
あ、あと一番バレないのは
意外と射殺らしいよ。
触ったところアルコールで拭いとくの
忘れないでね。
何躊躇ってるの?
やればいいじゃん。
ね?
あ、え、銃持って何してるの?
ふーん、信じちゃったんだ。
あからさまなのに?
まぁ、良いよ。
まだ君は子猫ちゃんなんだから。
僕からは殺さないでおくね。
【秋風】#81
私と貴方の間に秋風が吹き始めたのは、
街にイルミネーションが飾られ始めた頃。
私がマフラーをして着飾っても、
寒いことを理由に手を繋いでも、
貴方は、にこりと笑うだけで。
無理して笑って欲しくはない。
でも貴方と一緒にいる時間も
少ないだろうから。
そんな矛盾した気持ちの前、
冬に吹く秋風は
迷いもなしに通り越そうとする。
「優しすぎるよ。」
【また会いましょう】#80
名前も教えてもらえずに
時間と季節が過ぎて
私と貴方の関係が失われてしまった。
一言だけでも伝えたかった。
だから貴方を必死になって探したの。
馬鹿みたいね。
結局は相手がいなくて困ってるのは私だけで
貴方には他の人がわんさかいて。
それでも私は貴方の声を信じる。
いいえ
信じたかった。
目頭が熱くなってその理由に気がついた。
私の記憶の中には貴方の声が消えていたの。
そういえば前もこの時期だったわね。
ねぇ早くこのモノクロな銀世界を
どうにかしてくれる?
きっと貴方と見るだけでも変わる。
このつまらない日々が。
もし許されるのならば
また会いましょう。
【飛べない翼】#79
飛べない翼を生まれ持った。
みんな飛べるのに、私はただの役立たず。
そう。飛べないのなら、ただ役立たず。
私には自由に生きる権利なんか
一ミリたりともなかった。
彼は天使の梯子の場所を案内してくれた。
雲の上ならば自由も、生命も、権利も、
何も気にせずに過ごせると言った。
でも、彼は私とそれを登る覚悟はなかった。
やっぱり、この世界は小さかった。
【あなたとわたし】#78
今日書くべきではないのは事実。
でも、このお題が回って来たのは今日。
だから。
あなたは、教師。
わたしは、生徒。
ただそれだけ。それだけなのね。
それだけじゃなかったら、何か変わってた?
これじゃあ、あなたが悪い人みたいね。
違うの。
わたしが何も、
この事実を変えようとしなかった。
それが正解で、それが一番だと思ったの。
あぁ。また話、長くなっちゃうね。
どれだけ時が満ちようが、
過去は変えられないのにね。
あなたが、生徒。
わたしが、教師。
それだったら、変わってたのかな。