気分屋の現実逃避日記

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9/23/2023, 10:05:37 AM


星の声が聞こえる。
冬の澄んだ空に浮かぶ其れは
強弱をつけて光っては淋しいと嘆くようで。
私は謝るのみであった。
手の中にある定規では計り知れない
貴方と私の関係という距離が
その会話の疎通をやめさせる。
今日も貴方が幸せでいることすら知れぬ
水の惑星で佇む私はそんな声が聞こえた。

          【声が聞こえる】#54

9/21/2023, 2:05:58 PM



何度も君の横顔を見上げる。
本気の恋とは君を見た瞬間、またその時間が
私を微笑みさせようとする存在であろう。
紅葉は見えるだろうか。
私は見えないに賭ける。
きっと君の方が断然魅力的で
どうせ見上げるのなら美しい方を見たい
と思うのは当然だ。
今、なぜか君はこちらを向いた。
それから微笑んで、こくりと頷く。
銀杏の葉のように柔らかな表情は
私の手を自然と頬へと導いて
唇を合わせた。
横にある紅葉の葉は
私と君の接吻と同じくらいな色をしていた。


              【秋恋】#53

9/20/2023, 10:05:33 AM



いつも、明日に希望をくれる君は
「じゃ、また明日。」
そう言ってくれる。
君からはどう思われてるかは知らない。
だから光の筋を生み出す
君との時間だけは大事にしたい。
この気持ちが許されるのなら
君が私の1番大切な人。


          【大事にしたい】#52

9/19/2023, 9:07:36 PM



自由落下は知ってるか?
簡潔に言えば
空気抵抗を無いものとし、重力のみによって
物が落下することである。
私は後悔した。
この生身で、この階層で、
自由落下は出来ないのだ。
どこからともなく風はくるし、
鳥も同じ高さを飛び回っていて
今にも衝突しそうである。
ああ、こんなに長いのであれば
いっそのこと、時間よ止まってくれ。


          【時間よ止まれ】#51

9/19/2023, 9:06:46 PM



蛙も鳴かなくなる夜、
秋の月を見る。
雲は遠く薄いが、それを追いかけた。
上を向くばかりであるものであったから
首が痛くなった。
いつであろうことも、夜景は美しい。


              【夜景】#50

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