8/12/2023, 12:59:08 PM
今宵も、貴女様は琴を奏でる。
夜の春風に乗って届く、
愛おしく温かいが、凛とした音色。
結ばれぬのは承知の上。
琴の音が届くまいとされる日まで、
明日も冷たい朝日を浴び続けよう。
【君の奏でる音楽】#14
8/11/2023, 11:29:02 AM
大の字にした身体を芝生にまかせ、
網目からキミを眺めた。
それと同時に花火が見えて、
私たちの夢は、今一つ叶う。
嬉しくて笑って見せると、
キミは一段と輝きを増した。
次の花火が咲く前に、もう一度輝く。
僕だけを見てよと。
【麦わら帽子】#13
8/10/2023, 11:54:50 AM
終点を“死”と考える。
起点を“生”と考える。
そうだとすれば、
「生きる」の反対は
「死ぬ」だと言い切れない。
つまり、何なら言い切れるか。
いつも、
《“死”は“生”と隣り合わせである。》
ということだ。
【終点】#12
8/9/2023, 12:19:00 PM
いつもそう、君が言うから。
左手の位置も分からず
右手はテーブルに添えた。
行方を失う左手は
温かい君の右手が支える。
目をつぶってと言うと
素直な君に、口付けをした。
【上手くいかなくたっていい】#11
8/8/2023, 10:34:40 AM
月明かりの差し込む舞踏会。
これほど雅やかに踊り狂う娘が
この世に存在して良いものか。
蝶よ花よ。
彼の娘に、甘い蜜を届かせるには
どうしたら良いものか。
あのどうしようもなく、尊いお方に
己の表しようのない甘い感情を
届けてくれぬか?
【蝶よ花よ】#10