≪街の灯≫
病んでくるのは決まって夜の帳に包まれてから。
この街を見渡せる展望台を目指す。
小さな港町で何もないくせに…。
つまんない死んだ街だと思うのに。
灯で輝いたそこはまるで別世界で あまりに綺麗だから欲張りになってわざとメガネを外すと視界がボヤけてキラキラだけが増す。
この灯の数だけ人の人生があって生活がある…
来た道を下れば私もその小さな一員に戻るだけ。
でも見たいの。
1人じゃないってことを。
この目で。
あの灯で。
≪この道の先に≫
この道の先にはあなたにとって危険なものがありますよ
そうやって親切な誰かが行く先を示してくれても。
私はいつだって自分の感覚に正直だから。
本当にそうなのか確かめずにはいられない性分で…。
それはどのくらい危険なのか、どんな危険なのか結局確認しに行かなきゃ気が済まない。
あなたは他の人がブレーキを踏むところでもアクセル全開だから危ういの。
そう心配してくれた人をさらに不安にさせてしまうんだ。
ごめんね。
≪好きな色≫
ぎょうしょく
とも言うらしい。
暁色。
朝焼けのあの色。
まだ夜が少しだけ居座っているような白んだ空を一人で眺めていると悲しかったような切なかったような何かが込み上げてくる。
何があったかは思い出せなくて
ただ感情だけは覚えている。
私を魅了するあの色には どんな意味があったのだろう。
≪あなたがいたから≫
例えば。
この人のためなら死ねる
って思っていた恋が終わっても
この人のために生きていたい
って思わせてくれたあなたがいたから今の私がいる。
≪落下≫
「落下が怖いなら喜んで受け止めてやるから
俺みたいに苦しむな」
このお題を見たとき真っ先に結び付いた彼の言葉。
そう歌った彼に私はどれほど救われてきただろう。
今でも理想と現実に揺れる。
そのたびに口ずさむ。
「大丈夫、過ぎてみれば全ては思い出で教訓になる」
彼の教訓を胸に。
どうかあなたも落下しないで。
もう苦しまないで。
今日も明日も彼が笑っていられますように…。
あなたの笑顔で今日1日を生きていくから。