私はあなたが好きじゃなかった。
嫌いでもなかった。
あなたとの間にはすっかり亀裂ができてしまったけど、今もずっと憎たらしいと思っているけど
あなたには幸せになって欲しいのです。
そうじゃないと許さない。
たった一度の喧嘩から、あなたへの信頼の糸はプッツリと切れてしまった。
それからは、あなたと居ることが苦痛で苦痛で仕方なかった。それなのに、あなたは何も気づいていない。
自分だけすっかり忘れて、勝手にも程があると強く思った。
あなたからは何にも教えてくれないのに、分かれ だなんて無理に決まってるじゃん!
どうしてこちらへ歩んでくれなかったの?
私からの言葉なんて聞いてもくれないし。
たくさんの積み重ねでとうとう糸は重さに耐えられなくなって、大きな音を立てて切れたのに。
あなたは自分が何を言ったかも忘れて、ヘラヘラと話しかけてくる。
こんなにあなたが憎らしいのに、許せないのに、
それでも幸せを願うのは、あなたが家族だからでしょうか。今まで一緒に居たからでしょうか。
私はもう、わからないのです。
振り回されっぱなしの私は、ずっと目が回って仕方がないよ。お姉ちゃん。
私の心はいつも雨が降っている。
大粒の雨がドシャドシャと降ることもあれば、静かにシトシトと降ることもあるのです。
けれど、いつも雨が降り止むことはありませんでした。
晴れやかに笑う誰かを見ると、どうしてそんなにしあわそうなの、って嫉妬して
もっと強く雨が降ってくるものですから、私はどうしたらいいのかわからなくって、傘もさせないまま蹲るしかしなかったのです。
ある時、雨は雪になりました。
真っ暗闇のなか、白い雪が轟々と吹雪いて私の頬を切り裂きました。
どうしてこんなに辛いの どうしてこんな思いをしないといけないの。私なんて死んでしまえと思いながら眠る日が続いて、何もかもが憎くって、私の心はもうボロボロに砕けてしまっていました。
いつも思考を駆け巡るのは、晴れだった昔のことばかり。雪の今も、少し前の雨も、見たくなかったのです。
周りばかり晴れの日で、私にはその日は来ないのだと思っていたら、その日は突然来ました。
ふと、思い立ったことだったのに、それが私の心を晴らした。
ただの思いつきが一気に私の心を整理して、雲の切れ目から光が差したのです。
怖いことも悲しいことも全て、飲み込んでいかなければいけなかったのに、私はずっと目を逸らし続けてきました。愚かだったでしょうね。惨めだったでしょうね。
でも私は、その全てが無駄だったとは思わないのです。
寒い日々が続いたから、太陽の温もりに幸せを感じられるのですから。
この先も不安や恐怖が付き纏うだろうけれど、
少しだけ、たった一欠片でも生きた理由を見つけられるように、私は今日も水溜りを踏み越えて進むのです。