母が録画したドラマを見ながら寝てしまった。
テレビ画面は再生が終わり、録画一覧を表示している。
小さい画面で先程まで見てたドラマがまた始まっている。
このまましとけば最後までこの小さい画面で
ドラマの終わりまで再び再生されるのだろうか。
興味はあったが音は普通に出てるのでうざったいから
電源を切った。ブゥン。
その電源を切った音でなぜだか目覚めた母。
録画したドラマを早送りで再び見始め
見た覚えのない場所を探している。
ごめんね、消音にしときゃよかった。
(目が覚めるまでに)
入院したことがある。
11才の時に急に首が腫れ上がって。
結局原因は分からず。
10日の入院のうち7日は何も食えず点滴。
何故か手の甲に指した点滴の針。
精神的にも肉体的にも最悪だったが
10日間学校強制休みは遠慮がちに言っても
サイコーだった。
(病室)
明日、もし雨が降ったら髪切りに行こう。
明日、もし雪が降ったらフランスに行こう。
明日、もし槍が降ったらブレイキンをマスターしよう。
明日、もし晴れたら…家で寝てよう。
(明日、もし晴れたら)
誰かに話しかけられると
それまでの思考がどこかへ行ってしまう。
2つの事は同時に出来ないのだ
不器用ですから。
いつも、いつもじゃないよ。
このアプリでポチポチやってるときは
一人でいたい。
(だから、一人でいたい。)
同じの団地に2コ下の女の子がいた。
その子がまだ小学校上がってなかった頃の話。
団地の前の道路でしゃがみこんでいた彼女は
階段を降りて外に出てきた私に急に近づいてきて
「蟻捕まえること出来る?」と聞いてきた。
どんくさい私にワラワラ動く生き物を捕まえる自信はなく
出来ないと答えると
「私は出来るよ」と嬉しそうに笑った。
見ててと言うので仕方なく、と言うか正直悔しかったので
本当に捕まえられるのか見ていることにした。
ほどなく蟻を見つけた彼女は
「見てて!見てて!」
と大声で叫ぶ。見てるよと近づいた私に笑顔を向けた彼女は
おもむろに蟻に向かって手を振り下ろした。
バン!ぷちっ──
潰れた蟻をつまみ上げ、彼女は嬉しそうに笑った。
勝手に生け捕りと思っていた私は数秒凍りついたが
澄んだ瞳でこちらを伺う彼女に向かって
何とか持ち直し「スゴいね」と笑顔を返した。
(澄んだ瞳)