冬がくると、夜ベランダにあるポリバケツにゴミを捨てるとき
堂々としたオリオン座が目に入る。
ベランダの柵に寄り、見上げると
オリオンの右上に牡牛座、左斜め上に双子座。
そいで、オリオンの右肩ベテルギウスが
おおいぬ座のシリウスとこいぬ座のプロキオンとで作る
冬の大三角形。
シリウスと言えば
風の谷のナウシカの
「シリウスに向かって飛べ!」を思い出す。
冬の夜空は賑やかだ。
夜のゴミ捨てが楽しみな時期が近付いてきてる。
小学校低学年の頃、全校集会で「鬼のパンツ」を踊った。
いや、踊らされた。
低学年は各教室で前もって指導を受けて。
当日、一年生から六年生まで整列し
フニクリフニクラの曲に合わせて踊り始めた。
はこう はこう 鬼のパンツ~♪
のパンで全校一斉に手を叩く。
凄まじい音が響く。
児童、先生、校長までもが無表情に踊り続ける。
1回終わっても、また始まる。
思ってた以上に何度もリピートする。
何かの呪いのような光景だった。
そして大人になっても
あの振り付けは、あの替歌の歌詞は、呪われた光景は
脳裡にこびりついていて、油断すると脳内再生が始まる。
ラーメン屋の代替わりで
突如失われたあの餃子と
幼かった私を魅了し
揺るぎなきトップに君臨し続けたあの餃子と
もう一度、もう一度でいい
巡り会えたら
うぅ…
子供の頃、その恐るべき敵と初対峙した。
黒光りボディ、神速、圧倒的存在感。
奴だ、Gが現れた。
姉の悲鳴が恐怖を倍増させる。
すわと急ぎ丸めた新聞紙片手に臨戦態勢に入る母。
その間涙目のまま動けずにいた私を侮るかの如く
Gはピクリとも動かない。
不動の母とGの放つ緊迫感。
横目にいつの間にか距離を取った姉の手招きが見えた。
意を決し姉のもとへ一歩踏み出したその時
まさかの事態が起きた。
私の足の着地点にGが突進してくる--
…ふみっ
Gにとっても私の動きはまさかの事態だったようだ。
その後、半狂乱で足の裏を洗う私を母と姉が褒め称えた。
あれから時を経て、Gと幾度目かの対峙。
そうそうあることではないと分かっていても
「Gの奇跡」に備え、スリッパを必ず履くことにしている。
昼と夜の間に夕方があって
夜よりが黄昏時でしょうか。
この時間帯は結構曲者だったりして。
小さい子供の頃に遊びに出掛ける際
暗くなる前に帰るように大人に言われ
外にいるとまだまだ大丈夫だと思ったのに
家に入ると外が真っ暗に見えて
まんまと怒られたのを思い出す。
少し大きくなって
夢中になって家で漫画を読んでると
目が悪くなると注意を受け
強制的に電気を点けられると
今まで読んでたページが
やにシパシパしたのを思い出す。
大人になると
暗かろうが明るかろうが
どうでもよいのだが。
帰り道
まだ明るいと思ってたのに
外灯がポッ点くと
いつの間にか辺りが暗くなってることに
驚いたりする。