理不尽に対し
嘆いたり、恨んだり、泣いたり、叫んだり
許せない、収まらない、どうすることも出来ない。
やるせない気持ち。どこに置いてきてしまったんだろう。
今じゃすっかり
はい、はい、そんなもんです。そうでしょねー
に変わってしまった。
あの感情を抱いてた頃が私のピークだったのでは…
思えば遠くに来たもんだ。
あ、この感じ。もしや、やるせない気持ちでは?
子供の頃、親戚家族に連れられて海へ行ったことがあった。
親戚の子達が奇声を上げてワイワイ楽しんでるなかに
なんか馴染めず一人で波打ち際をふらふら歩いていたら
やはり一人で何やら作業に耽っている子を見かけた。
ちょっと気になり見てると、手で何かに砂をかけている。
乾いた砂を両手にすくいに行っては
波打ち際まで戻るとまた何かに砂をかけていた。
何に砂をかけてるのかと覗いてみると半透明のブヨブヨした物体。
…?意図は掴めなかったが、何か必死さが伝わってきたので
自分も砂を両手にすくい、その何かにかけるのを手伝った。
半透明の物体が砂山に完全に隠れると、コッソリ小さな声で
「ありがとう、助かったよ」
と言って走って行ってしまった。
よく分からないが、いいことをしたような気になった。
あれ、クラゲだったのかな?何かの卵だったのかな?
もし今度海へ行って半透明の物体を見つけたら、砂かけてみるか。
いや、面倒くさいから濡れた砂をかけよう。
うちのベランダにも、とうとう今年初の蝉の亡骸。
何故に我が家のベランダを選ぶ。
緑の芝生は目と鼻の先だろうに。
ここから放って自然に還ってもらおうと裏返しの骸に近づく。
ジジジジジーーー!!
うわわわわーーー!!
バタバタと散々に暴れ回って飛び去って行った。
無事に土のある所まで辿り着くことを祈ろう。合掌。
え、「蝉ファイナル」って言うの?あれ…
小学校にまだ上がる前の頃、鳥のように飛びたかったのか
私は空を飛ぶ練習をコツコツとしていた。
二段ベッドに上がり、飛び降りる。
手を懸命に羽ばたかせ、落ちる。また上がり、落ちる。
何度も何度も、成功を信じてひたすら繰り返す。
工夫もする。
一回地上で手を素早く羽ばたかせる練習をしてから飛び降りる。
タオルを両手に羽ばたいて落ちる。
団扇を両手に羽ばたいて落ちる。
ダメだ。また失敗。いや、次こそいける、きっと飛べる。
そうだ、長い時間落ちれば、羽ばたく回数が増えて飛べる。
そして二段ベッドを上がり、勢いよくジャンプ‼
した途端、天井に頭をぶつけて落っこちた。
幸い、片足の捻挫と頭のコブとお尻のアザ程度で済んだが
残念なことに飛ぶ練習は禁止令が出てしまった。
あれは私が初めてしたチャレンジと努力だったと思う。
いや、バカ丸出しなのだけど。
今思えば「鳥のように飛ぶ」は
私が一番最初に持った夢だったんだな。
さよならを言う前に
自分がいなくなることも、相手がいなくなることも
往々にしてあることだから。
遅かれ早かれ、誰もが「さよなら」することは決まっていて
誰一人、避けることは出来ないのだから。
伝えたいことがいっぱいあったと後悔しないように
今のうちに伝えてしまいましょうか。
出来れば小出しにね。
「死亡フラグ?」とビビらせないようにね。