NoName

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子供の頃、親戚家族に連れられて海へ行ったことがあった。
親戚の子達が奇声を上げてワイワイ楽しんでるなかに
なんか馴染めず一人で波打ち際をふらふら歩いていたら
やはり一人で何やら作業に耽っている子を見かけた。

ちょっと気になり見てると、手で何かに砂をかけている。
乾いた砂を両手にすくいに行っては
波打ち際まで戻るとまた何かに砂をかけていた。
何に砂をかけてるのかと覗いてみると半透明のブヨブヨした物体。

…?意図は掴めなかったが、何か必死さが伝わってきたので
自分も砂を両手にすくい、その何かにかけるのを手伝った。
半透明の物体が砂山に完全に隠れると、コッソリ小さな声で
「ありがとう、助かったよ」
と言って走って行ってしまった。
よく分からないが、いいことをしたような気になった。

あれ、クラゲだったのかな?何かの卵だったのかな?
もし今度海へ行って半透明の物体を見つけたら、砂かけてみるか。
いや、面倒くさいから濡れた砂をかけよう。

8/24/2023, 8:35:37 AM