Episode.39 ないものねだり
ないものねだりって何でしょうか。
今はないけど遠く先の未来で自分が掴んでいるのなら、ないものではなく、あるものになるのではないでしょうか。
人間は不思議ですね、すぐに未来に縋るのですから。
未来に縋ることが悪だとは思いませんが…縋り過ぎた結果として、目の前のものにすら手が付けられない状態まで落ちぶれているのです。
実に面白い。
人間というのは己の欲望を糧として生きているのです。
…え?内容がよく分からない、ゴチャゴチャだって?
ああ、すみません…私は文才がないものでしてね。
それこそ、私に文才があれば良かったのかもしれませんね、ふふ。
さ、私は彼らのようにはなりたくないので、次の仕事へ移るとします。
ないものねだりをしたならば、それを叶える努力をしなくてはなりませんから…ね。
Episode.38 好きじゃないのに
有名なマッチングアプリで出会った人。
本気で好きになるつもりは無く、からかって遊ぶつもりだった。
絶望に怒る姿が見たいから、初めて会った日の夜には、好きじゃないのに体を許した。
所詮1回きり、たかが一夜だって思ってた。
でも違う、違うんだ。
彼はその後もしつこく連絡してきた。
通知は1ヶ月のうちに1000を超えた。
そしてある日の深夜にはインターホンを鳴らされた。
何度も、執拗に、ガチャガチャとドアノブを動かす音を立てながら。
1時間程度で諦めたのか静けさだけが残った。
それから3日後、家の帰り道で後ろから口を塞がれた。
そのまま意識を失い、気がつけば見知らぬ部屋に男と2人。
その男こそ、マッチングアプリの彼だった。
頑丈に繋がれた足枷に怖気付く私を見て、笑いながら教えてきた。
"初日で体許すなんてビッチ以外の何者でもねえだろ。
そんなお前を分からせるために居場所を突き止めた。
こっからは俺のペースだ、もう逃げらんねえぞ。"
その後、私は彼に乱暴に扱われながら、意識が飛んでも止めずに行為を繰り返された。
私の言う事なんて聞いてくれないし、喘ぎ声以外を出せば喋らなくなるまで殴ってきた。
そんな生活が2ヶ月ほど続いた後、彼は首を絞めて私を殺害した。
警察の調べで分かったのは、彼は部屋に隠しカメラを付けていて、わたしとの行為を裏サイトに載せて稼いで居たんだとか。
その証拠のおかげで無事逮捕されたという。
しかし、私の行動をネットで叩く者は、しだいに私の家族への誹謗中傷や自宅荒らしもしていった。
__みなさんは、この文章を見て何を思うでしょうか。
からかった女が悪い、もしくは逆襲した男が悪い。
はたまた両者とも悪ければ、両者とも悪くない。
さらには警察の発見が遅い、ネット民が悪いなど…
意見は様々出てくると思います。
正直なことを言ってしまえば、人間が己の頭脳で分析してさらなる高みを目指す思考を持っている限り、犯罪は絶対に無くならないんです。
本当の恨みで働く人もいれば、死ぬ前の経験、なんとなく、有名になりたいと言ったしょうもない理由で働く人もいます。
そんな人がいるのは許されませんし、犯罪者が第1として悪いのは前提としてお話します。
今の時代、悲しいことに沢山の事件の前例があります。
その前例がありながら、私達は危機感がなさすぎるんです。
自分は醜いから狙われない?
セキュリティが高いから大丈夫?
そんなの犯罪者には通用しません。
容姿の価値観は人によって違います、醜いと思っているのはあくまで主観です。
あなた自身が好かずとも、犯罪者には好かれること。
また、顔だけでなく体さえあれば何でも良いという人もいること。
セキュリティが高くても、上手く設備屋として入り込む人がいること。
外出時を狙って、集団で襲いかかり抵抗できなくすること。
犯罪者は悪い方に頭を働かせます。
理解し難いことだって容易に考え、行動を起こします。
犯罪者が居なければきっと解決します。
それでも居なくならないのだから対策するしかないのです。
自分の命を自分で守るしかないんです。
みなさんの身の回り、1度確認してみてはいかがでしょうか。
そして、現代だからこそ起こりやすいネットでの誹謗中傷。
最近では、誹謗中傷と批判の違いすら分からない人が増えています。
若者に加え、議員ですら分からない人がいるんです。
みなさん、誹謗中傷はしていませんか?
コメントせずとも、誹謗中傷コメントにいいねを押していませんか?
前者はもちろん犯罪者です。
後者に当てはまったあなたも共犯者ですよ。
顔が見えないからと調子に乗っていませんか?
正確な手段をとれば特定なんて簡単です。
顔なんて見えているも同然なんですよ。
そもそも何が誹謗中傷かわからない?
分からないならコメントもせずに居ればいいじゃないですか。
幼稚園児でも分かるような事が、成長すると分からなくなるんでしょうか?不思議な人ですね。
今までの間に、思い当たる行為をした人達。
怒られたくない、そんな理由でももう構わないんです。
同調圧力の波に飲まれて、恥じるべき行為を繰り返すのはやめなさい。
きっとこれからもしないと誓う人達。
分からなければ何もしない、共感しても心で留める。
迷惑の掛からない方法で発散しなさい。
苦しい報道が多発している今、少しでもみなさんが安心して過ごせますように。
Episode.37 ところにより雨
西寺夏寧様
拝啓
卯の花に夏を思う頃となりました。いかがお過ごしですか。
さて、もうじき梅雨入りの季節となってまいりました。あの頃の記憶が鮮明に蘇ってきます。
今年も夏寧様とお会いできることに、大変うれしく思います。私は、夏寧様が好んでいらっしゃる和菓子の製作を進めていこうと思います。
詳細は近いうちに改めてご連絡します。
それでは、時節柄くれぐれもご自愛くださいませ。
敬具
2024年5月26日
九条涼介
Episode.36 特別な存在
みなさんこんばんは。
本日は月明かりがとても美しいですね。
ついつい見蕩れてしまって、時間があっという間に過ぎ去ってしまいます。
僕は毎日、誰かにとっての特別な存在でありたいと願い続けています。
おそらく物心ついた頃には既に、特別な存在について考えていました。
僕が依存体質なせいでしょうか、心に思い留めるもの、誰かにも同じように求めてしまいます。
しかし苦手な人にとって、自分が特別だと思われても興味関心は湧きません。
僕がなりたいのはきっとこうです。
"僕にとって特別な存在である人が、僕のことを特別な存在だと思って欲しい。"
簡潔に表せば、両思いでありたいと言うわけです。
では特別な存在になるにはどうすればよいのか?
こう聞かれた時、僕は上手く答えられる自信がありません。
とにかく目立つ行動をして興味を引く。
自分の外見を磨き、美しさで心を惹かせる。
トークスキルや優しさで相手の心を掴む。
方法はきっと数え切れない程あるでしょう。
ですがこれらは全て、"特別でありたい"から頑張るだけのものであって、"特別であれる"訳ではありません。
人間は十人十色とよく言いますが、だからこそ毎日悩まされ、時に幸せに溢れ、波のある人生が出来上がるのでしょうね。
僕はきっと幸せな人生を送っています。
毎日差し込む朝日で目覚め、食事をとったり外出したり、そして月明かりに見守られね眠りに落ちる。
時々思うようにいかずとも、当たり前のように過ごせているんです。
それなのに、悩むことの方が多いのだと、僕は不幸なのだと簡単に思い込んでしまいます。
僕がそう考え込む理由は、他人からの評価を気にしすぎるせいだと自己分析しています。
どうすれば好印象であれるのか、好きだと思われるのか、役に立てているのだろうか、生きていてよいのか。
とにかく僕の全てを認め、愛してくれる人が傍に来てくれる為にはどうしたらよいのか。
そう考える時間の方が多く、少しでも努力しようだなんて思う時間が削れて消えていくんです。
僕を特別だと思ってくれる人が、来てくれることだけを望んでいるのです。
僕は生憎性格が悪いので、最低限のマナーやモラルを守り、法律に従った上でなら好きな相手を此方側に引き摺り込んでもよいと思っています。
「特別な存在」の対象や基準なんて、人によって違うのですから。
日本語に慣れていないせいか、拙い文章になってしまいますね。
しかし、こういった自分の世界観や思いを綴るのはとてもよいですね。
気持ちの整理ができ、感情のコントロールが以前と比べ上手くいくような気がします。
何より、こうしてみなさんの心に少しでも寄り添えているのだと考えると、どこかが満たされた気持ちになります、不思議なものですね。
このアプリは、僕にとっての特別な存在なのかもしれませんね。
夜はもう遅いですから、眠りにつくこととします。
みなさんもお身体を大切になさってください。
おやすみなさい、よい夢を。
目覚めたみなさん、おはようございます。
また、こんにちは。
今日という日が、みなさんにとってかけがえのないものになりますように。
Episode.35 バカみたい
「学校じゃ、好きなことして生きなさいって教わったん
に、俺らマージで今何してんだろなあ?」
「ほんっとだわ、好きなことで生きてくってバカ難しく
ねえか?」
「バカむずいよなー、特に俺らなんて金発生しないんだ
からさ、この世界じゃどうも生きらんねえわな」
「考えても無駄だろこんなん!なれんもんはなれん!今
日こそ定時に帰ったるからなーあのくそイカレ男め」
「お前ひでー言いようだな、定時に帰れたら宅飲みしよ
うぜ」
「おーおー任しとけよ!」
嫌々生きる為に働いてんのがバカみたいだ。
本当なら、今頃約束を果たしているはずだったのに。
俺らがあの日約束したことは、この小さくて大きな地球じゃ叶いっこないもんだった。
それは_____
「2年1組、陽崎英都と」
「月野雄都です」
「「僕達が発表するのは、将来の夢です!」」
"ぼくたちのしょう来のゆめは、ヒーローになることで
す。ヒーローはみんなのことを守るすごくかっこいい人
です。
ぼくたちがヒーローになりたいと思ったのは、テレビで
やってた「イザナミ☆スター ライト」を見たからです。
ヒーローのライトは、町の人がたすけて!と言うとすぐ
にとんできてこうげきしてみんなを守ります。
それで人をたすけるところがカッコイイと思いました。
なのでぼくたちは、大人になった時にみんなを守れるカ
ッコイイヒーローになろうと約束しました。
まだ分からないけれど、こまったらたすけてくれる先生
やパパとママも、みんなぼくたちにとってヒーローみた
いでカッコイイです。
ぼくたちの名まえは、2人で英雄になります。
英雄は英ごにするとヒーローです。
だから1人じゃなくて、2人でヒーローになります。
絶対にヒーローになります。"
「来世はヒーローなれっかな、英都…」
「んなのあたりめーだろうが、雄都」
だけど、2人でいんならこんな人生もアリだ。