遠い日の記憶
両親は昔離婚した。
だから私に父は今いない。
だからたまにしか会わない父の顔があまり浮かばない。記憶も曖昧だ。
けれどもたくさんいろんな所に連れてってくれたとか心配してくれてたことは覚えてる。
大人になった今だからわかる父の気持ち。
今だから言える私の気持ち。
母と出会ってくれてありがとう
育ててくれてありがとう
空を見上げて浮かんだこと
小さい頃から空を見上げるのが癖だった。
車に乗ってる時空模様が綺麗な時。
考え事や辛い言葉があった時も空を見上げていた。
空は同じようで同じじゃない。
流れていきいろんな姿を見せてくれる。
それが綺麗で儚くて魅入られていたんだろう。
今でもその癖は変わらない。
空を見ると少しだけ勇気と元気をくれるから
「そろそろ終わりにしない?」
「…うん」
恋人がそう口にしたのはある夜のこと。
視線を向けるとムスッとした表情で此方を見ていた。
「聞いてないでしょ」
恋人はため息をつき隣に座る。
そしてついてるテレビをチラリと見た。
カチコチと時計の音。
「「あ」」
そんな中重なる声。
「よし!お待たせ!行こ!」
「うん、おめ。待った」
テレビの画面にはモンスターが倒れる姿、そして報酬欄に真ん中に星があるアイコン。
「明日も一緒にやろーね!」
「ほどほどにね?一緒に寝たいから」
「はーい!」
2人は笑みを浮かべ今日を終える。
明日という約束をして。
優越感を感じたことはあまりない。
劣等感だらけで自分を責めて周りと比べてしまう。
自分は凄い人間ではない。
平凡な人間だ。
根性あるねと言われるが別にそこに優越感を抱いたことはないし劣等感をバネにして頑張ろうなんて大層な考えじゃない。
ただ必死にしがみついて精一杯生きてるだけ。
それだけなんだ。
七夕の日はほとんど雨。
子供の頃、雨だと織姫と彦星は会えないねと話していた頃が懐かしく感じる。
今日は晴れ、快晴だ。
「…今日は会えるじゃん、良かったね」
何となく呟いた言葉に子ども達が反応した。
そんな子ども達に七夕のお話をする。
七夕は織姫と彦星が年に一度だけ会えるのを許された日なんだよ、と。
「そっか…じゃあ雨の日の七夕はてるてるぼうずを作ってあげなきゃね!」
その言葉に子供の頭を撫で笑った。