毎日毎日私はある呪文を唱える
唱えたからと言って
なにか凄い効果がある訳でもない
ただ心持ちが違うだけ…
少しでも勇気を出そうと毎日唱えるのだ
奥手の私は中々自分から話しかけに
行くことは出来ない
話しかけられた時も話し下手だから
いつも上手い返しが出来なくて
そんな自分を変えたいと思った時から始めた
この誰にも言えない私のおまじない
毎朝私がする習慣がある
それは鏡を覗くこと、そして
毎日鏡の中の女の子を見て
「今日もかわいい!」と声をかけること、
傍から見ると変な人だろう
私だってそう思っている
けどそう声をかけるのは、
鏡の向こうにいる彼女の少し照れたように
微笑むあの顔がみたいからなのだろう
私の目の前で頬を染めてはにかむ彼女をみると
今日もがんばろう、と少し前向きになれる
まあ、それも家の鏡だけだが
1度学校の鏡で彼女の姿を見たことがある
いつものように「今日もかわいい!」
そう声をかけようとして気がついた
少女の頬を伝っていた透明な雫に……
私と見つめ合うその子の涙を
どうしても拭いたくて彼女の頬に手を伸ばした
けど、、私は阻まれた。
他ならぬ彼女の手によって
それからというもの、
私は学校の鏡は見ていない
だって彼女の涙なんて見たくないし、
あの子の手によって拒まれた
少し悲しい記憶を思い出したくないから
それと……
いいや、やっぱなんでもない
1日が終わったその時に
ふーっと人知れずため息をつく
特に何かあった訳でもない
いつもと変わらない"普通"の日だった
けど……なんか疲れてしまった
毎日毎日、同じことの繰り返し。
「え~ それやばすぎー!ww」
「うそっ! テストとか聞いてない!!」
「今日の担任の髪型ヤバくない?!ww」
ほんと毎日毎日飽きずによく続けるものだ
1人で静かにしていたいのに、
周りとの輪を乱さないために
自分の意思を押し殺して ニコニコと相槌を打つ
周りと、同じ意見を発する
私も君たちと同じこと思ってるよ、と
「確かにww」 「うちもそう思う~ww」
けど、周りの目はそれを常に疑ってる
それ本心?
うちらに合わせるための嘘じゃないの?
……女の子って鋭いよね、
こういうものってすぐバレちゃうのかな?
私は知っている、
その子たちが私の居ないところで
コソコソ悪口を言っていることを…
でも今更生き方なんて変えられない
こうでもしないと私のような弱い人間は
平和な学校生活を送れないのだから仕方ない
そう、仕方ないのだ
たとえ、
その子たちが本当は私の事嫌いだって…
仕方ない、仕方ないんだよ……
でもたまにつらくなってしまう日がある、
それがたまたま今日だっただけ
そういう時はね、つい神様に縋ってしまう
明日、学級閉鎖にしてください
大雪を降らせてください
少し物騒だけど……
でもそれで明日の学校が無くなるのなら
この飽き飽きした日常が少しでも変わるのなら
私は少しだけ嬉しく思う
だから、今日も枕元でね
「学校が休みになりますように」
小さく小さく呟いたの
そして、「おやすみなさい」 って……