「moonlight」
月明かりの下で、あなたの瞳を見つけた。
静けさのようにやわらかく、潮のように深いその瞳。
夜は私たちの間でゆっくりと息をして、
星しか知らない秘密をささやいていた。
あなたの手が、そっと私の手に触れた瞬間、
世界は動くことをやめた。
街は眠っていたけれど、
私の心はあなたのために目覚め、
銀と影のダンスを踊り始めた。
月明かりは、あなたの肌を穏やかな炎で染め、
闇をやさしい真実へと変えていった。
もし朝が来るというなら、私はこう告げるだろう。
——もう、私は夜のもの。
あなたが住むこの夜の。
「今日だけ許して」
今日だけ許して
明日からはいつも通りにするから
今日だけ許して
好きって伝えさせて
叶わないってわかってる
だからせめて
今日だけ
今日だけ許して
明日からまた話さないようにするから
今日だけ許して
彼女がいるって知ってるけど
付き合えないってわかってる
でもせめて
伝えさせて
好き
ずっと
好きだった
みんなに平等に振りまくその笑顔
私にだけ振りまいて欲しいと思った
みんなに話しかけるその声色
私だけに使って欲しいと思った
ずっと
ずっと
ずっと好きだった
もう今から嫌いになるけど
嫌いになるから
今日だけは好きでいさせて
今日だけ
今日だけ許して
「旅は続く」
遠くまで足を運んでみようか
知らない景色を見てみようか
遠回りの道を通ってみようか
色んな旅で
少しだけ変わる
私の世界
こんな所があったんだ
こんな花が咲いてたんだ
こんな家があるんだ
全て新しい発見で
とても楽しいことね
どこまでも
何処までも
行ってみたい
親に内緒で
抜け出すのが楽しいの
ある日居なくなった女の子の行方は
誰も分からなかった
「涙の理由」
貴方は
私の頬を伝う
水滴の意味を
知ることは無いでしょう
貴方が
私を見ても
興味なく
目をそらす度に
私の心は雨模様
貴方に
言われた
好きな人がいるから
その言葉で
儚く崩れ去った恋を
どう処理しようと思っていたの?
後から
貴方が貴方の友達に
好きな人なんて居ないけど
って笑って話していた時は
本当に辛かったわ
メンタルも
感情も
性格も
何一ついい所なんてなくて
それでも
貴方には
分かって貰えるって
思ってたけど
貴方は
私の頬を伝う
水滴の意味を
知ることは無いでしょう
貴方は
私を
見ようともしないもの
「コーヒーが冷めないうちに」
コーヒーを頼んで
彼女を待つ
約束時間より少し早めに家を出たから
まだ彼女は来ないだろう
晴天とまでは行かない
晴れた空が
僕の心情をあざ笑う
雲より上を飛ぶ
鳥の声が
僕の心を見透かすかのよう
憂鬱さを誤魔化すように
ミルクが入っていない
コーヒーを口に含む
しばらくして君が来た
きっと別れ話だろう
君にあげるために
コツコツ貯めていた指輪のお金は
もう用無しかな
彼女は終始落ち着かない様子で
ソワソワしていた
そりゃそうだろう
今から5年間付き合った相手を振るんだ
「…どこがダメだったんだ?」
「え?」
「別れるんだろう?」
「えっ!?」
「え?」
おかしい
『大事な話があるから今度話そう』
というのは
別れ話の切り出し方じゃないのか?
「その、もし良ければだけど、ど、同棲してみな い?」
肩を震わせながら君が言った
嘘だろ?
今日は別れ話だと思って来たのに
動揺を隠すために
少し冷めたコーヒーを飲む
「もちろん、したいよ」
そう言って微笑んだ
彼女が嬉しそうに頬を赤らめる
先程まで彼女に渡そうと思っていた
今までありがとうの手紙を
そっとカバンの中で握りつぶした