暗がりの中で
暗がりの中で見つける小さな光
針の穴ほどの光で良い
見つけられたら
誰かが照らしてくれたら
暗がりの中から抜け出せる
その光を信じて
衣替え
衣替えの季節になった。
同時に断捨離の季節でもある。
新しい服が買えないから、
古い服は捨てなくてはならない。
何も悪くなっていないのに、
ただ時代遅れだというだけで、ゴミ箱へ。
毎日変えても余るくらいの服があるのに
思い出なんて考えると捨てられない。
売ることもできない。
また、今年も悩んだあげく、
クローゼットの中へ。
そして、もう服は買わないと決めたのに、
ネット通販を見ている私がいる。
服と同時にクローゼットを買おうとしている。
私が居なくなったら、全部捨ててくれ。
子ども達にはそう伝えている。
衣替えの季節は、私を悩ます。
すれ違い
一緒に住んでいるのに
いつもすれ違いばかり
私達が起きる前に仕事に出掛け
寝てから帰宅する
仕事が休みの日は昼過ぎまで
部屋でゆっくりしてうらから
顔を合わせるのは休みの日の
夕方からほんの数時間かな
だからこそ
この時間を大切にしたいと思う
パパと過ごす貴重なひとときを
やわらかな光
窓から室内に広がる光を全身で浴びる。
まるで母に抱かれているかのような温かさだ。
パジャマ姿の僕は、胸ポケットに入っているお守りを握り締めた。
明日もこのやわらかな光を全身に浴びることができるはずだ。太陽の光を浴びることが、こんなに心を落ち着かせるものだとは思わなかった。日常の当たり前が愛おしい。
「それでは、そろそろ行きましょうか?」
女性の優しい声が耳に響く。いよいよだ。
白い服を着た女性が3人と男性が1人。部屋に入ってくる。車椅子を移動させると僕を包んでいた光はなくなり、急に寒く、恐怖で身体が震え始めた。
「大丈夫ですよ。必ず元気になります。私が約束します」
心強い言葉を男性に掛けられた。
ゆっくり立ち上がると身体は宙に浮き、ストレッチャーに乗せられる。窓から差し込む光を見つめながら、大きく深呼吸をし、僕は覚悟を決めた。
手術室に向かう。
鋭い眼差しの奥にある
屈託のない素直な瞳
いつも僕を見てくれていたんだね
ごめん、今まで気付かなくて
別れの日にわかっても遅いよね
もう、そんな鋭い眼差しを向けないで
君の透き通る瞳で、今度は誰かを
見守ってあげて欲しい
鋭い眼差しを向けなくても良い人に