神様を信じていた。
だって、毎週来るおばさんがこういうんだ。
「神を信じれば幸せになる」
へー信じるだけでいいなら楽じゃないか、と。
だけど遠回しに掴もうとしたからか
幸せは、どんどん先に行ってしまった。
別に神様のせいじゃない。
きっと、目の前の幸福に
満足せずにいる私が悪いのだろう。
ー幸せにー
「貴方を守りたい」
そう、自分の為に。
「好きだよ」
まぁ、君が好きでいてくれるなら。
「安定したい」
どうせ変わらないし。
「頑張るね」
離れていかないで。
「おやすみ」
愛してる
あっけらかんとしてみせて
いつも、潰してしまわないように
愛すらも、私にとってはワレモノだから。
ーバカみたいー
誰にも見せまいと
たくさん我慢してきたけど
今回ばかりはうまくいかなかった
「涙まで綺麗」なんて言うから
フロントガラスの外で並ぶ街灯が
余計に煌めいて見えたの
大丈夫だよ、と抱きしめてくれたその腕が
私を見つめる愛おしそうな目が
まるで初恋の時みたいな
そんなぎこちなさで
あの時は君も、さみしかったんだよね
きっといつまでも忘れない
君と私だけの、特別な夜
ー特別な夜ー
緩やかな静けさの中
必死に底めがけて潜っていく私の手に
そっと、何かが触れた
もう少しで掴めるのに
息が、保たない
ごめんね、ごめんなさい
暗くて黒いそこに、不自然な白を見た
最後まで私に優しく触れた、君の指先だった
いきなり光が見える
徐々に聞こえてくる換気扇の音
天井からの水滴が、紅色の頬に冷たく落ちて
私は深く、ため息をついた
頭がガンガンする。
この感覚に、まだ生きていると実感させられるのだ
そうして毎回、絶望する。
のぼせて眩む視界の中、浴槽から立ち上がり
床に転がった瓶を拾って洗面台に置いた
まったく、空瓶ばかり増えて処分に困る
しかたないからこれに花でも飾ろうか
そしたら君はとんでもなく怒るだろうな
まだ寝ぼけた脳みそで
そんなくだらないことを考える
ー海の底ー
繰り返し。
必然の中にしか、偶然は生まれない。
ーこの世界はー