わー…と上を見上げて動かなくなった隣に合わせて何となく自分も空を見上げた
ここはド田舎
申し訳程度の街灯が、点々と道を照らしているような田んぼ道の真ん中で
大の大人が2人して見つめる虚空の先には、ガキの頃と変わらず空一面に星屑がさざめいていた
隣が微動だにせず上空を見つめ続けるので、何となく自分もそれに倣う
……ちょっと首が痛い
「星座ってさあ」
「うん」
「無理ない?」
「………」
『星空』
/あ"ー…(それは本当にそう)
/(Xで見たやつ)
僕の大切な人たちに
等しく平穏と優しい眠りが訪れますように
いつの日かまた
僕の手の届かない所へ行ってしまうのだとしても
それでもどうか
どうか彼らのゆく道は
温かな光で満たされていますように
『愛と平和』
/僕はもういいから、どうか
えーなんだろ?何があるかなあ?
あれもあるよね?あれも、あっあれも!
あれ?でもお金あれば買える…かな??
どうかな?どう思う??
あっそういえばあれってさー…
ぽんぽん弾み転がる話題に
くるくると変わる表情
勢いよく脱線していく愛おしい会話たち
この時間がずっと続けばいいのにと思ってるよ、俺は
『お金より大事なもの』
/言わないけど
同情してくれるんでしょう?
だったら、私を選んでよ
私を好きになって
『同情』
/いっそ言ってしまえたら
ああ、どうか
どうか貴方が、貴方だけが
誰よりも幸せでありますように
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(ああ、一番星だ……)
観客の波で溺れそうになりながら必死に見上げた先に、多くの人の視線を、心を掴んで離さない一等輝くピカピカの笑顔
人に揉まれ、意図せず漏れた息とこぼれた声は、うねる歓声にかき消され、貴方にはきっと届かない
それでも願ってしまうのだ
身勝手にも
手を伸ばしても届くことのない
一等輝くわたしの一番星
どうか、貴方が幸せでありますように
他の誰かはどうだっていい
誰よりも貴方が一等、幸せでありますように、と
『誰よりも』
/なんて独りよがりで歪な願い!