#57【いつまでも捨てられないもの】
捨てられない病ではあるが
ふと思い立ち、断捨離魔になることもある。
「何かに使うかもしれない」の呪いに
長らくかかっているのだ。
でも、捨てられる。
いらない!もう捨てる!邪魔っ!
…となれば、捨てられるのだ。うん、捨てられる。
そんな私が、使いもしないのに
大事にしまいこんでいるものがある。
保育園のお昼寝で使っていたバスタオルだ。
牛さんが南の島でバカンスを楽しんでいる
なんだかよくわからない絵柄のバスタオル。
卒園してからも一緒に寝ていたバスタオル。
フワフワ感はなくなり
もはや雑巾より雑巾なバスタオル。
一人暮らしをする時に
縁が破れているからと捨てられそうになって
ガチギレしてまでも守りきったバスタオル。
本当にボロボロだから
ネットに入れてお洗濯して
クローゼットの奥にしまってある。
なぜか捨てられない。
思い出など特にないのに。
たまに引っ張り出して
さわさわ触ってみる。
なんだか安心する。
まだ捨てられない。
きっと捨てない。
#56【誇らしさ】
人生で唯一、誇らしさでいっぱいになったのは
とある歌のオーディションに受かって
プロのアーティストと一緒に
ホールでデュエット出来たことだ。
音源を送って、一次審査に通ったときは
合格を伝えられた電話口で半泣きだったし
審査員の前で歌った二次審査は
緊張しすぎて声が震えた。
あぁ…これは落ちたわ…と
実力の半分も出せなかった自分に
がっかりして、泣きながら帰った。
合格の電話が来たときは信じられなかったし
メールとライブチケットが届くまで
半信半疑だった。
各ライブ会場に選ばれた人がいるから
私だけが特別なわけではないけれど
数多く受けてきたオーディションの中で
初めて合格した嬉しさは計り知れなくて
プロにはなれなかったけれど
歌うことをやめなくてよかったと心から思ったし
あの景色は一生忘れないなと思った。
一緒に歌ってくださったアーティストさんは
とても気さくで、いい匂いがした。
トレードマークの足元は、その日も煌びやかで
私は心の中で「あぁ!本物だ!」と叫んだ。
たくさんハグしてくれたこと。
歌を褒めてくれたこと。
これからの自信と目標になった。
今でもテレビで見かける度に
背筋がしゃんとする。
今日も彼女の足元には
ルブタンのヒールが輝いている。
#55【夜の海】
空と海の境界線がわからないくらい
真っ暗な視界。
遠くを照らす灯台の明かり。
またたいている様な気がする星たち。
ほんのり感じる体温。
じんわり感じる水温。
纏わりつく砂を拭うように
このカラダを撫でて欲しい。
#54【自転車に乗って】
DREAMS COME TRUEの『Ring!Ring!Ring!』
Something ELseの『自転車ラプソディ#1』
どちらも大好きな楽曲で
自転車が出てくる。
どちらも片想いの相手に会いに行く
ちょっと甘酸っぱくて
微笑ましいストーリーだ。
こんな可愛い恋がしてみたかったと
ぼんやり思いを馳せるけれど
そんな漫画みたいな恋
そこらに転がってはいない。
そんな簡単に転がられても困る。
憧れは、手の届かないところにあるからこそ
その輝きが増すのだから。
…
…全然関係ないけど
前回自転車に乗ったのはいつだ?
#53【心の健康】
基本的に不健康だと思う。
ココロもカラダも
自信をもって健康だとは言えない。
それでも
どうにか自分の機嫌をとって
せめて凪ぎでいよう
ゆらゆら
ゆらゆら
要らないものは
思いきって振り切って。