久々の創作:
「降り止まない雨」を目の前に携えて二人は屋根下で動けなくなっていた。
「帰れなくなりそうだね」
「傘をお互いに忘れるなんてね」
嘘だ。目の前に君と少しでも長く一緒にいるためについた嘘だった。二人は入れるであろう「おおきな嘘」を鞄に入れたまま、君と雨宿りをする。
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「本当は知ってるよ」
「君が鞄を弄る時」
「折り畳み傘が見えたんだよ」
「すこしのおおきな嘘に私も付き合ってあげよう」
一時間、君とお話をしよう。
No.10
「あの頃の私へ」。
小六の私に伝えたい事はたくさんある。
君の代で丁度コロナ禍が被って卒業式がぶっつけ本番になること。そして、ネットの世界には片足でさえ踏み込まないでと伝えたかった。
ネットのお陰で何度も何度も精神を病んだし、最悪な元彼に出会うこともなかった。
けれどネットに対する考えが寛容だったからこそ、今の高校にすぐ馴染めたと思うと嫌な気はしない。……五分五分だなあ。やっぱり、そのままでいてくれと云うだろうね。
「何事も程々にを学ぶ」
No.9
「逃れられない」
今日も好きだった人が嫌いな人と付き合う夢を見た。過去に好きだった人としても、精神的に疲弊したタイミングだったからか心に刺さるような鈍い痛みみたいなのを感じて辛くなった。
人間は寝ている間に四つ程夢を見るが、そもそも夢は覚えるようにできていないのに…妙に覚えていられるのが、不思議なくらいだ。
昨日も一昨日もそんなふうな夢を見た気がするせいで、寝覚めが悪い。
あー、これが「元々好きな人」でよかった。
「好きな人が付き合う夢を見たら頭がおかしくなりそうだ」
No.8
「また明日」って君に云えるのはあと何回だろうね。今私と仲がいい人たちに「またあした」ってあと何回言えるかな。親に「おやすみ、またあした」ってあと何回言えるかな。限りある「また明日」を言えるだけ言いたい。
「また明日」を明日も明後日も云えますように
No.7
「透明」。今日のお題だ。今までのお題は「恋物語」だったり「突然の別れ」だったりと割と実体験をそのまま起用して描き綴れるお題だっただけに文章が拙くなってしまうだろう。
「透明」なものってなんだろう。「時間」も「言葉」も「ガラス」も「空気」も「水」も「命」も……こう考えてみれば、透明なもの程私たちの生活を支えてくれているのではないだろうかとふと思い立った。命だって水だって空気だって言葉だって時間だって…ガラスはともかく。
目に見えないものほど自分達には大切なのだろうなあ。命は目に見えないから大切にしようと思えるし、時間は無駄にしてしまうことがあれど時は金なりとも言うし、水も空気も目に見えないけれど、無ければ命を落としてしまう。言葉がなければ、意思疎通の手段が減ってしまう。
けれども、やはり自分に残された命がどれ程あるか、とても気になってしまうのが人間の性で、私達人類に残された時間が残りどれ程あるか気になってしまうのが人間の性で。
一番大切なものって、見えないからこそ、不便なんだろうなあ。
「残された時間がわからなくてもせめて自分の死に方は知りたい」
No.6