『記憶』という名の火を灯したランタンを手に、『人生』という名の迷宮を進んで行く。
だが、『正確なマップ』等というものは無く、出口や財宝の場所、自分が進む道ですら、ランタンの灯りを頼りに手探りで歩んで行くしかない。
しかも、旅の途中で出会った仲間達とも、皆、持っているマップのルートやランタンの灯りの色が違うのだから、これまた頭を捻ってしまう。
「途中まで同じルートみたいだから、一緒に行こうか。」
「またどこかの道で会うかもしれないね。」
「その時まで、お互い気を付けて進もうね。」
「次会った時は、君のルートにはどんなものがあったのか教えてよ。」
そんな話をして、「じゃあね」と手を振りながら、灯りを足したランタンを手に、再びそれぞれの道を進んで行く。
夜空を駆ける夢を見た。
ひとり必死に走る私には目もくれず、
宙を駆ける列車が静かに横切って行く。
車窓の向こうには、今朝見た小鳥。
列車も、私も、行き先は同じなのだろう。
昨夜、部屋の窓から間の抜けた顔で眺めていた
サザンクロス。
一瞬見えたきらめきを、掠めてしまう君が憎らしい。
そんな君に気を取られている僕も愚かしい。
霞む事なかれ、僕のきらめき。
「たとえ間違いだったとしても、あなたと出会って、あなたと過ごした時間に悔いは無い!」
どうして、あなたはそう言い切れるの?
どうして…嘘じゃない、真っ直ぐな目で言えるの…?
みんな、嘘ばっかり言うのに…
「嘘じゃないよ、信じて。」
信じても、いいの…?
ああ…たとえ間違いだったとしても、この選択を悔いてはならないんだろうな…
だって、きっと、あなたに会えるのは、
これが最後だから。
あれ、あの人の名前、なんだっけ…
転校先のクラス。斜め前に座ってる、ピアスをした子。
話した事は無くて、少し挨拶しただけだけど、
初めて見た時から惹かれるものを感じた。
特別美人とか、そういうわけじゃないけど、
すごく興味が湧く。
どんな子なんだろう…もっと、知りたい。