お題 届かないのに
鉛筆を
片手にダッシュ
家の外
細い線と
爪先立ち
お題 記憶の地図
みちしるべ
光って消えてをくり返す
過去に戻れる
古い記憶よ
お題 マグカップ
お揃いは
好かない君が言ったけど
見て見ぬフリで
僕は微笑む
お題 雨音に包まれて
ぱちぱち…と雨粒が、壁や地面や木の葉に落ちる音がする。
その中で、丸椅子に座り、少し猫背になりながらノートとペンを携えてページを開く。
時折吹いてくる風のせいで、細かな、さぁっとした雨が顔に飛び込んでくるけれど、それさえも今は心地よい。
やっと一人の時間ができた。
晴れの日よりも、雨の音を聞きながら物語を書く方が私は好きだ。目を瞑り、世界を広げ、音を頼りに組み立てていく。
ふと、ヒヤリと身体がその気温に包まれて、思わず空を見上げる。一つ、息を吐く。肩を回す。文字に射線を入れる。
今目の前の状態に酔っている自分の気持ちは、筆を取るきっかけになる。
考えて、また少し設定を追加して、濃紺のノートを閉じた。
うん。
今までの中で一番心地よい時間だ。
私にとって幸せな、時間だ。
ありがとう、今日の天気よ。
お題 美しい
意識してこの言葉を使ったのは、推しだと思う。
あまりにも容姿が綺麗だったから。中性的な顔を好む私にとって、なんで美しいんだろう…雑誌を見ながらぼやくことはままあった。
次に使ったのは、歌詞だった。それもつい最近。
美しい言葉の泉だった。
美しい日本語の集まりだった。
今までにない衝撃だった。
まるでパズルのピースをなめらかに、綺麗に、置いていくかのように。
日本語を、並べていた。
天才的な…美しさだと、感じた。
その日から、私の中で彼が天才だと、認識した。
出会えてよかった。言葉を操る美しい人。