広いと思っていた公園が
おとなになった自分には
とてもちいさく感じて
戻れないせかいがあるとおもうと
例えようのないさみしさが込み上げる
だけど空はずっとずっと
大きくて広くて高い
手の届かない変わらない青がある
いつまでもその青はそばにいてくれる
はずだから、きっと
空を見上げて心に浮かんだこと
もう一歩も歩きたくない、歩けない
前に進む力がなくてその場にしゃがみこむ
先を歩く君がしゃがむこちらに気がついた
すこし休憩したらまた進もう
一緒に行かなくちゃ意味が無いんだ
差し伸べた手を握って立ち上がる
きっとひとりじゃここで終わってた
手を取り合って
しわしわに朽ゆくわたしの手は
ふわふわと揺れる頭をそっと撫でた
朝も昼も夜もつづけて似たような
ニュースが流れる
未来のないこの国を報じる番組に
たしかに、とまた毛足の長い君にふれる
わたしも変わらぬ愛を誓うこともなく
ことばの通じぬ子犬との人生を選んだ
最後のときは
純真無垢な君とすごしたいと思ったんだ
きっと変わらず最後まで
そばにいてくれるでしょうから
世界の終わりに君と
おもいでと一番つよく結びつくものは
香りだという
ひそかに抱いた恋心は
もう蓋をしてどこか影の中でほこりでも
被ってしまっているだろう
二度と会うこともないし忘れてしまえば
きっと涙を流すこともない
そう思っていたのに
あなたと出会った季節が春だったから
いけないのか
風に乗ってやさしくて甘い花の香りが
影の中に光をさす
風に乗って
すべてのものが生きているなら
時計は時を告げるために生きている
スプーンは食べ物を運ぶために生きている
くつは歩くために生きている
そうやってなにかのために存在していることに
意味を見出せたら
それだけかもしれないけど
みんなみんなそのための
生きる意味で正解なんだろう
ナイフはたべものを切るため生きているけれど
時に人をも傷つけてしまう
本来目的としたことから外れてしまうものに
生きる意味になるのか
生きる意味