満月の夜、獣に変わり果ててしまう
この体を恨むべきかギフトと呼ぶべきか
分からないまま何年も生きてきた
お願いです、今日だけは顔を
見せないでください
気になるあの人とのデートの日
月の兎たちは私の気持ちを知ってか
知らずか雲の隙間から姿を現した
ああなんてことだ、こんな姿じゃ
逃げ出してしまう…!
そう言ったのは、気になるその人で。
ええ、あなたもなのね、わたしもよ
月の兎は、知っていたの?
そして、これはギフトと呼ぶべきか…
代々受け継がれた呪いと言うべきか……
月に願いを
わたしの心はどこか静かな庭の中にあって
そこは永遠にぽつりぽつりと雨が降る
庭に踏み込んで
わたしに傘を傾けてくれる人もいたけれど
腕がいたいと出ていってしまった
それに、冷たく濡れたわたしに傘なんて
いまさら差し出されても意味はない
ただ、貴方だけは違った
傘を差し出すわけでも
顔を拭う布を渡すこともなかった
この冷たさが君を苦しめているなら
いつか日が出てくるまでここにいよう
ただ隣で一緒に雨に打たれていた
この雨が降り止んだら貴方は
どこかへ消えてしまうのだろうか
日の光を見せたい気持ちと
失いたくない気持ちがせめぎ合う
勇気の出せないこの庭はいつまでも
静かに冷たい雨を降らせていた
いつまでも降り止まない、雨
あの頃の不安だったわたしへ
ねえ、少しだけ耳を傾けてくれる?
信じて貰えないかもしれないけれど
あなたが今見ているその素敵な夢は
叶う日がくるよ
とても簡単ではなかったけれど
今あなたが見ている世界より
もっともっと素敵な世界へ
踏み出せるから
不安と、すこしの勇気を抱えて
飛び出してみるといいかもしれないね
かけられた言葉は身に染みて落ちず
自分はダメだから、そう自分が1番苦しめて
出来ない理由を積み重ねては
どんどん自分を憎んでいく
可哀想な自分でいることが
1番楽だと気がついた時にはもう
逃げられない
逃げられない呪縛
なにもかも透かして
どこまでも清く深いあなたの心に
触れてしまったら
わたしの穢れで濁ってしまうのではないか
怖いのです
_透明な水