きっとなんの意味もない言葉なのだと思う
「可愛い」だなんてお世辞でしょ。
そんなひねくれ者の私に貴方は
「今日も可愛いね」だなんて。
だから私はなんの意味も無い
チョコレートなんかを
唇なんかを、貴方にあげた。
--《バレンタイン》
2019.11.25.
病に倒れた貴方は私を待っていました。
貴方を失う事は哀しみと同等すると思っていた。
一生懸命に呼吸をする貴方とハグをした。
キスをした。
行為を繰り返す度貴方を失う事の恐怖に涙流した。
然し、時は私の思いなんぞ知らん振りで
貴方を死へと進ませた。
貴方は私の帰りを待って、顔を合わせて、
私が貴方の頬を包んだと同時に
さよならと言うように逝ってしまった。
哀しみに暮れた、はずだった。
でも、けれど、私は、貴方の体温が無くなる瞬間、貴方の瞳孔が開いていく数秒、硬くなる数分その時まで貴方に触れていた。
あぁ。ごめんなさい。
死する貴方が美しすぎて
死したからこそ出来る力で抱き締めた。
未だ尚
死後貴方を抱き締めた感覚を思い出してしまいます。
今も。貴方を埋めたこの場所で。
--《この場所で》
特別何か悲しいことがあった訳じゃないのよ。
ただ憂鬱でさ、この気持ちをどうにかしたくて、でも感傷的なBGMばかり流れちゃって。
あー、そうか。貴方が居なくなったのね。
記憶から消えた。ぽっかり穴が空く。正にそれ。
でも、哀しく無いのよ、全く。
貴方が居なくなった日。
それは私のくすみ笑顔を飾った。
--《スマイル》
私の母親ってさ、
結構ちまちまネチネチ言ってくるのよ。でもさ、
いっぱい私のこと考えて言ってくれてて、
いっぱいありがとうって言いたい。
--《どこにも書けないこと》
行く宛もなく汽車に揺られた.
''おはようございます.皆様本日も....''
アナウンスが耳に入る.
窓辺から見える清らかな雪景色.
私以外誰も居なくて,汽車の温かさを独り占めして,
満足の一言でいいでしょう.
なのに,なのに,あぁ,どうして.
どうして私は貴方の接吻を欲しているの.
この先に貴方は居ますか?
--《kiss》