"三日月"
三日月……crescent moon
……Luna crescente……croissant de lune
……クロワッサン食べたいなぁ。
帰りにパン屋さんが開いていたら、クロワッサンを買って帰ろう。
明日はカフェオレとクロワッサンで優雅な休日を始めてやるんだ。
"色とりどり"
先生の趣味は独特だった。
作業台の上に散らばる色とりどりのかたまりをジーッと眺めていると、"君は逃げないんだね"と言われたので首を傾げた。
"やってみるかい?"と道具を手渡されたけど、重すぎて取り落としてしまった。
"そりゃそうか、ごめんごめん"と苦笑して道具を拾い上げる先生の手は細くしなやかで、どこにあの無骨な道具を扱う力があるんだろうと不思議に思った。
色のかたまりから、少しずつ表面が削ぎ落とされていく。完全にバラけた所で、ようやく写真と同じものが見えた。まじまじと見つめていると、覚えなさい、と言われた。
逆算して、想像できるように。
形を、輪郭を、骨格を肉を神経を全てのピースを視界に焼き付けて忘れないように、と。
"君はぼくと同じ類いの人間だろうからね。これからも生き続けるというのなら覚えておいて損はないよ"と、先生は赤く染まった手を拭いながら僕に笑いかけた。
"雪"
冬晴れの日にひらひらと舞う風花は綺麗だよね。
雪を見るとテンションが上がるのはいくつになっても変わらない。
"幸せとは"
自分で決めるもの、かな。
背景が不幸一色でも、視点を限定すれば幸福だろうし。
他所からはどんなに恵まれて見えても、当事者が不幸だと言うのならそれは不幸なのだろう。
良かれ悪しかれ、考え方ひとつ。
なにを幸せと呼ぶのかは自分次第。
少なくとも無関係な他人にどうこう言われる筋合いは無いよな。
"今年の抱負"
"来年の抱負?先輩を笑わせることです"と言っていた人が、新年早々刺客を放ってきた。
郵便受けに葉書ではなく封書が届いた時点で異様な気配を感じてはいたけれど。
中には映画ばりのVFXが施された写真年賀状。
しかも連作。
笑うよりも先に、おおっと感心してしまった。
かかってきた電話に、次会った時に映像加工技術を教授してほしい、と伝えると、"欲しい反応はそれじゃないんですよ"と嘆きの声が返ってきた。
なんか……ごめんね。